第1章 誘導起電力 1.1 ローレンツ力によるアプローチ

 

 発電機や電動機の動作原理を理解しようとする際、磁界中で回転するコイルには誘導起電が生じます。

 

 その誘導起電力を考える際、次の図1に示すようにコイルを長さℓの直線状の一本の導体棒にまで分解して考えます。

 

 この導体棒一本あたりには、次の式(1)で示される誘導起電力eが生じると説明されることが多いです。

 

  e=Bℓvsinθ ・・・(1)

  

      ※Bは磁束密度、vは導体棒の速度、θは磁束密度Bと速度vの間の角度

 

 この式(1)は、[理論]の電磁気学でも使用される重要な式であるため、理論の学習が進んでいる方であれば、馴染みある式であると思われます。

 

 [理論]を前提とする限りでは、この式(1)に深い解釈は不要だと思います。

 しかし、発電機や電動機の学習を進めるうちに、この式(1)について、次の疑問が湧いてくる方もいるでしょう。

 

<疑問>

 次の図2のように、磁界が速度vで移動する場合でも、式(1)を適用できるのか?

 

 特に、同期機や誘導機では、この図2のように、導体棒が静止し、代わりに磁界が移動する状況を考えないといけませんので、この疑問は自然だと思います。

 

 しかし、不思議なことに、この疑問について明確に解説した情報は、なかなか見かけません。このあたりから、しっかり理解しないと、同期機や誘導機の理解は難しくなってしまうと思います。

 

 そこで、本節では、この疑問に応えるべく、式(1)の成立をローレンツ力の観点から証明し、図2の状況でも式(1)が利用できるのか解説しております。

 

(その解説は本書に記載されています↓)

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