戦場の象が、射られた矢にあたっても堪え忍ぶように、
 われはひとのそしりを忍ぼう。
 多くの人は実に性質(たち)が悪いからである。  

 馴らされた象は、戦場にも連れて行かれ、王の乗り物ともなる。
 世のそしりを忍び、自らをおさめた者は、人々の中にあっても最上の者である。

(…)

 この心は、以前には、望むがままに、欲するがままに、快きがままに、さすらっていた。
 今やわたくしはその心をすっかり抑制しよう、
 ―象使いが鉤をもって発情期の象を全くおさえつけるように。

 つとめはげむのを楽しめ。おのれの心を護れ。自己を難処から救い出せ。
 ―泥沼に落ち込んだ象のように。

 もしも思慮深く聡明でまじめな生活をしている人を伴侶として共に歩むことができるならば、
 あらゆる危険困難に打ち克って、こころ喜び、おもいを落ちつけて、共に歩め。

 もしも思慮深く聡明でまじめな生活をしている人を伴侶として共に歩むことができないならば、
 国を捨てた国王のように、また林の中の象のように、ひとり歩め。
 愚かな者を道づれとするな。独りで行くほうがよい。

 孤独で歩め。悪いことをするな。求めるところは少なくあれ。
  ――林の中にいる象のように。 

   林の中にいる象のように ― ブッダ 『真理の言葉』 第23章