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  2006/08/31のBlog

薬害、薬害、薬害

最近、C型肝炎訴訟のニュースがあったが、私はこういうニュースを見るといつも不思議に思う事が ある。それは、何度も何度も同じような”薬害”をくり返している一部の大企業があるのだが、どうしてそういった悪名高い企業を国は”解散、廃業”にしないのだろうか。どうして株主(特に三菱)は、相変わらず株を買っているのだろうか、ということである。

近年でも、雪印乳業の「黄色ブドウ球菌事件」で雪印は大きな痛手を受けた。「O一157事件」で も食肉業者は大きな痛手を受けた。極最近では、「狂牛病事件」で食肉生産業は廃業しかねないほど の痛手を受けた。

にもかかわらず、薬害事件の場合には、大製薬会社たちはほとんど無傷でまったくダメージを受けた どころか、より一層躍進している勢いであるように私には”見える”。

この”差”はいったいどこにあるのだろうか。これが、私には実に不思議なことなのである。

そこで、いくつか有名な薬害事件・訴訟をまとめてみると、以下のようなものであった。

(あ)「薬害エイズ事件」
によると、この薬害事件に関与した会社は次のもの。

ミドリ十字 → 現、三菱ウェルファーマ
化学及血清療法研究所
カッタージャパン→バクスタージャパン→現、日本トラベノール
バイエル薬品→現、バイエル社
大塚製薬
住友化学→現、大日本住友製薬
関わった代表者で起訴されたものは、以下のものたち。
松下廉蔵・須山忠和・川野武彦(ミドリ十字代表取締役)→実刑判決(2000)
安部英(帝京大病院、医師)→無罪判決(2001、3月)→死去(2005年4月25日)
松村明仁(厚生官僚)→有罪判決(2001、9月)

(い)「C型肝炎訴訟によせて」
によれば、問題となった「フィブリノゲン製剤」を使用したのは次のもの。
三菱ウェルファーマ(旧ミドリ十字)
ベネシス(三菱ウェルファーマの血液製剤製造部門。2002年に分社化)
この事件に関しては「国と製薬会社に賠償命令 C型肝炎訴訟で福岡地裁判決」で、総額11億66 00万円の損害賠償判決が昨日福岡地裁で出たばかり。

(う)この他、「薬害B型肝炎訴訟」というものもある。その歴史は、「薬害肝炎訴訟」にすべてま とめられている。

(え)さらには、「薬害ヤコブ病訴訟」というもの、古くは「サリドマイド事件 」、 「スモン事件 」などから始まり、「陣痛促進剤被害」、「接種・注射禍事件 」、「クロロキン事件」 、「ソリブジン事件」などと挙げたら切りがないほどに類似事件がある。これらは、「薬害資料館 」
にまとめられている。

ここで、共通して出てくる大企業は「ミドリ十字(現、三菱ウェルファーマ)」であった。上にもあるように、この会社は、何十年も同じような薬害を頻繁にくり返してきている。「薬害エイズと日本の医学者:七三一部隊の陰を引きずったミドリ十字」によれば、ミドリ十字の前身「日本ブラッド・バンク」は、日本軍の”細菌戦の人体実験”を行った悪名高き”731部隊”のボス石井四郎の作戦参謀であった内藤良一が作ったとされている。そして、「アウシュビッツにも匹敵する戦争犯罪だった七三一部隊の罪状がアメリカ進駐軍に よって意識的に免罪され、データがアメリカに売り渡され、それと引き換えに七三一部隊関係者はその庇護のもとに戦後の社会で活動した。」とある。

この人命軽視、人間無視の姿勢という”古き悪しき伝統”をミドリ十字が持っていたのではないか、と多くの識者は見ている。そして、これが再びゾンビのように息を吹き返した三菱ウェルファーマに蘇ったのではないか。そんなことを思い起こさせるお話である。
ところで、日本に”製薬会社”という手法を持ち込んだのは、エッセイストの星新一さんの父親である星一(ほしはじめ)であった。
この星新一さんの「明治・父・アメリカ」は、この父の人生を語った見事な名著であるが、この中で日本に一番最初に近代的な製薬会社を設立したのがこの星一さんであり、その会社が「星製薬株式会社」であったとある。日本で最初に小売りチェーンのフランチャイズ制度を導入したのもこの星一さんだった。それまでは、日本の商いは問屋制度で、大問屋、中問屋と小問屋そして小売り店と階層的
であったが、製造会社と小売り店のダイレクト関係を作ったのだった。この星製薬は新しいアメリカ型経営で大成功し、その成果を大学に還元し、未来につなげようとして出来たのが星薬科大学であった。

ところが、この新しい製薬会社が大発展し、それを”妬んだ”幾多の薬問屋が、”星製薬疑獄事件”というスキャンダルをねつ造して”星製薬潰し”を行い、ついにこの会社は潰れてしまったのである。この事件に一生涯の恨みを持っていつか書いてやるといって書いたというのが、「明治・父・アメリカ」であるというのだ。まあ、そんなことはどうでもいいのだが、この疑獄を作り上げたものは、当時の官僚や大企業のお偉方たちであったということだ。

これと似たような状況が戦後もすぐに復活して、ミドリ十字のような企業体質、薬害に見るような”官僚と企業の癒着”が21世紀に入った今でも毎日見る事ができるのではないか、と私は考えるのである。まあ、一種の文化だ。それも”悪質な文化”が堂々と生き続けているということである。

これが、日本の医学界や製薬界に今も渦巻いている”人命軽視、人間無視”文化の根源なのだろうと私は想像しているが、だれもそうして欲しいと言ってそうなっているのではないから、これは一部の日本人のDNA(遺伝子)に書き込まれたものなのだろう。

ここが大事なところだが、我々日本人の中には、同じ日本人でも他の日本人を自分と同じ日本人だとは思っていないというような日本人が確かに存在するということだ。こうした人々が、JR西日本の電車事故の時にも出てきたし、建築偽装事件の時でも出てきた。同じように薬害問題でも出てきたわけである。

アラブ人でもイスラエル人でもユダヤ人でも、敵国には容赦ないが、同胞に手をかけない。しかし、日本人は同胞にも手をかけるものがいる。ここが私にはあまり良く分からないところなのだ。実に不思議だ。
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