~番外編~ 4,感動の「再会」と涙の「別れ」
‥‥‥一ヶ月
‥‥‥二ヶ月後
風も冷たくなってきた11月初め。
沖縄からのフェリーが鹿児島港に着く。
真っ黒に日焼けした二人の若者が、二ヶ月ぶりに
鹿児島の大地を踏み締めた‥‥
「ただいま、鹿児島!」けんじ
「おかえり(笑)」ゆーすけ
約束の一ヶ月間を過ぎた辺りから、よし子さんの方にもう少し
遅れるということを伝えると、
「うちの方はだいじょうぶだから、ゆっくりしてらっしゃい(笑)」
と言って頂き、気楽に沖縄を周ることができた。
とはいえ、二ヶ月も長居してしまい忘れ去られていると思っていた。
到着したことを知らせると、港まで迎えにきてくれるとのこと
だったが、ここはあえて甘えずに、 ヒッチハイク で行くことにした。
沖縄で車はなく、ずっとヒッチだったので、よし子さんの家
(串木野)まで約1時間くらいすぐ行けるだろうという自信はあった。
始めて30分くらいで一台の車が止まる。
熊本からドライブに来ていた 女の子二人組 が、一回通り過ぎたけど
気になってまた戻って来てくれたらしい。
ありがたく乗せてもらって、楽しく会話をしながら懐かしの
串木野までやってきた。
二人の女の子と別れて、よし子さんの家の前までやってきた。
ピンポーン‥
二ヶ月ぶりの再会に緊張の一瞬
‥ガチャ。
「た、ただいま帰りました!!」
「‥‥あっら~!!(仰天)おかえり!心配してたのよ!」
まるでわが家のような感覚で、なんだか安心した。
教頭先生とガスも帰ってきて、あまりのうれしさに抱き合った。
教頭先生が
「よし、今日はみんな集めてバーベキューだ!」
と言い、たけさん、つるさん、もろさん、しおさんを呼び
パーティー が始まった。
いろんな事がありすぎて なにから話せばいいか分からなかった
が、一生懸命沖縄での出来事を話した。
沖縄のおみやげで買ってきた 泡盛 や焼酎を飲みながら、
少し肌寒い11月の夜に、炭の温かさと ヘタクソなギター を
弾きながら、夜中まで語り明かした。
みんな口を揃えて
「お前達はいい経験してるよ。羨ましいわ!」
と言ってくれた。
自分のしたいことを自由にしている人間に必ず付いてくるものは
「今やっていることは本当に正しいのか?」 という恐怖の感情。
だから、こういう一人一人の励ましや応援の言葉は、
オレ達に計り知れないほどの 勇気 と 力 を与えてくれる。
その日は教頭先生の家に泊めさせてもらった。
よほど居心地がよかったのか?串木野に 5日間ほど 滞在した。
その間、たけさんともろさんが通っている大学に 生徒のフリを
して 遊びに行ったり、ガスとカラオケで マイクの奪い合い をしたり、
つるさんに串木野名物 『マグロラーメン』 を食べさせてもらったり、
よし子さんの家でビビりながら『呪いのビデオ』をみんなで見たり、
みんなとたけさんの彼女で日本三大砂丘、鹿児島の 『吹上浜』 の
夕日(写真)を見に行ったりと、本当に楽しい時間を過ごした‥‥‥
しかーし、オレ達は日本一周をしているのだ!
(危うく忘れかけていた…。)
そして、みんなにもやることはある。
二人で相談して、 明日の朝串木野を出ることにした。
そのことをみんなに伝えると、つるさんが
「じゃあ今日はみんなで飲もう!」
と言い、たけさん、もろさんと5人で、行きつけの居酒屋に入った。
つるさんは、人の 好き嫌いが多く 、嫌な人とは酒も一緒に飲まない
らしい。
(つるさんのことを一番よく知っている、たけさんが言っていた。)
そのつるさんが、自分から誘ってくれて、しかも 一番飲んでいる ‥。
なんだかちょっとうれしかった。
そして今日は、いつもみたいにバカ騒ぎするだけじゃなくて
真剣な話しもした。
その中でつるさんが言っていた印象深い一言
「俺に子供ができたとき、どんな資格や肩書きよりも
日本一周の『肩書き』が欲しい。」
オレ達が共感しないわけがない!
(日本一周の肩書きかぁ‥、なんかいい言葉やなぁ。)
お酒の弱いゆーすけも今日は、本当によく飲んだ。
けんじは飲みすぎで、もう立っていられない様子。
「みんなとの出会いにカンパーイ!!」
とか言いながら、大盛り上がりだった。
店をでるとき、なぜかノリでその場にいるすべてのお客さんと
一緒に写真を一枚‥‥ (ご迷惑おかけしました。)
最後の夜もたけさんが泊めさせてくれるみたいで、家の前に着き
みんなと別れようとした、 そのとき ‥‥
「‥‥グスンッ、グスン」
つるさんの目から涙がこぼれ落ちる。
今までつるさんは、オレ達に体を張った 『笑い』 を提供して
くれたり、場を盛り上げる リーダー的な存在 だった。
そのつるさんが、オレ達の目の前でボロボロ泣いている。
「‥お前らと出会えてほんとに‥グスンッ、よかった‥よ。」
それを見ていた親友のたけさんも、うっすらと涙ぐんでいる。
想像もしていなかった二人の泣いている姿を見ていると、
ゆーすけとけんじも自然に涙が出てくる。
月明かりの下で、男4人がワンワン泣いている。
今考えれば変わった光景だが、そのときはそんなこと考える
余裕もなく、何度拭いても出てくる涙を必死におさえていた。
「お前らが日本一周したってこと、『桜島』行くまで
死んでも言わせんでね!」
ちょっと前から、日本一周のゴールは鹿児島の桜島にしろ!
とみんなからジョーダン半分で言われてきた。
考えていたが、このときはっきり答えが出た。
「当たり前じゃないっすか!オレ等はバカでアホで
どうしようもない人間ですけど、約束だけはちゃんと
守りますから!(笑)」
涙も大分おさまったところで、つるさんと抱き合い
握手して別れた‥‥。
ゆーすけ はたけさんの家の布団の中でも、ずっと
泣いていた。
これだけ泣いたのは初めてだろう。
それほど ゆーすけ の中で、この人達と別れるのは
辛かったんだろう。
思えば、みんなと過ごした時間もほんのわずかだ。
なのにまるで、昔から付き合っている 親友 みたいに
仲良くなることができた。
いい人間関係をつくるのに問題なのは、 『時間』 では
ないことが本当によく分かった。
泣き疲れたのか、いつのまにか深い眠りについた。
朝起きて、長い間お世話になったたけさんの家にお礼を言い
出発しようとするとたけさんが、
「お前らに俺の大好きな詩をプレゼントするよ!」
と言い紙を渡された。そして、
「俺にとってもお前らと過ごした時間は、本当に大切な時間だった。
ありがとう! 今よりずっと強く、たくましく、そして、優しい
人になって、オレ達が待っている鹿児島に帰って来い!!」
‥‥昨日あれだけ泣いたのに、また涙が出てきそうだった。
ガマンして最後は笑顔で別れた。
「バイバーイ!!みんな、ありがとう!!」
二ヶ月ぶりに愛車「やっちゃん号」に乗り、北を目指した。
人生は出会い。
出会いがあれば別れは必ずある。
悲しい事だけどこれが現実。
でも、人間はそうやって強くなっていくもの。
オレ達は常に新しい出会いを求めていきたい。
そして、別れに涙する。
『涙の数だけ強くなれるよ♪』(岡本真夜)
パッチ の旅はまだ始まったばかりです!
教頭先生、よし子さん、ガス、たけさん、つるさん、もろさん
しおさん、(犬のプル)。
みんなと出会えた事はオレ達にとって誇りです。
串木野(鹿児島)に帰ってくるときは、人間的にも成長して
帰ってきます! どうか見守っていてください!
そしてまた、同じメンバーで飲めたらいいなぁ(笑)
たけさんの大好きな詩
一本の長くて孤独な川のように 僕は夢に向かって走り続けている
立ち止まらずに先へと進んでいる 一本の樹の小さな枝のように
僕は自由を求めて手を伸ばし続けている もっと先へと
あきらめないで 古くて泥まみれの道のように
僕は重荷にうんざりしている でもどんどん行くんだ もっと先まで
くたびれて問題だらけのこの地球のように
生まれてからずっと僕は転がりっぱなしさ ぐるぐる回れ
止まっちゃいけない だって陽のあたる場所はかならずあるから
そいつは誰にでも希望がある場所で 僕の貧しく不安な心も
追っ掛けるべき場所なんだ そうさ 陽のあたる場所はかならずある
命がつきてしまう前に 陽のあたる場所を見つけなくてはいけないよ
~完~