降り積もる雪
子供の頃は
ワクワクして楽しい出来事だった
いつかは溶ける
この雪のように
私の気持ちも溶けると
そう思っていて・・。
「私ね、彼のこと好きなんだ」
親友からそう告げられた
あの日から
私の心に残った
溶けてくれないこの気持ち
「私も」
この一言がいえなくて
舞い踊る雪を見ていると
いつもその日のことが
頭をよぎる
定期的に開催される
同期会
社会人になって
どんなに忙しくなっても
みんなで集まる。
どこかのお店で
誰かの家で
わいわい楽しく
集まれることは素敵なことだと
やっぱり感じるけど
二人のことをみていると
一人心が痛むのは内緒
「ねぇ、食べてる?」
なかなか伸びない手をみていたのか
声をかけて、料理をよそってくれる彼女
「ありがとう」
ふと、目にとまった彼女の薬指には
リングが輝いていて・・。
「結婚するの?」
正直、幸せそうな二人を見る自信は
今の私にはない
でも確認せずにはいられなかった
「・・うん、今年中には」
そうなんだ・・
「おめでとう!!」
ちゃんと笑えてるよね・・
「今度ちゃんと紹介するから」
笑顔でそういう彼女
「え?」
いま、すごくおかしな顔をしているに違いない
だって彼でしょ。
ここにいるじゃない。
「会社の先輩なんだけどね」
彼女の顔は幸せで満たされていた
内心ほっとした自分もいるのが
少し嫌で、アルコールをのどに流し込む
ふと、向かいの席にいた彼と
視線が合う。
一秒もなかったかもしれない
その時間がすごく長く感じて
うれしさがこみ上げた。
あの頃と変わらぬ笑顔で
見つめるあなたを見て
あの時いえなかった
この気持ち
伝えられる気がした。
「あのね・・・」
END