私が家で1人になることは滅多にない。
母が働いていた頃は土日仕事だったので、その時1人だったけど、
定年退職してからはほぼ家にいる。
母が土日に出かけるのはスーパーへ買物に行くくらいで、
大抵開店時間に行き、1時間程度で帰ってくる。
すなわち、私がパンを作っている間に行って帰ってくる。
母を邪魔者扱いするつもりはないけど、
誰もが1人の時間は欲しいものじゃないだろうか。
2月に10年ぶりに出張へ行った時、
久しぶりの1人での宿泊に寂しくなるかと思いきや、
逆にホッとしている自分がいたくらい。
家には“自分の部屋”がないので余計にそう思う。
だいぶ前のことだけど、会社の後輩に
「自分の部屋がない」と言ったら、ものすごく驚かれた。
私はものすごく驚かれたことに、ものすごく驚いた。
日本国民全員、自分の部屋があるような
広い家に住んでると思ってるのかよ…と内心ムッとしたものだ。
だいぶ後になって、姉にその話をすると、
「ああ、よく驚かれるわ。3人寄り添って生活してるって言ってる」との返事。
よく!?世の中自分の部屋があって当たり前って人がそんなにいるの!?
…とまた驚いてモヤモヤ。
で。
今日は珍しく母がお出かけ。
月に1度の習い事がたまたま祝日に重なったから。
10時前に出かけて、14時頃に帰ってくるらしい。
この貴重な時間、パンを作ってる場合じゃない!
…と思ったけど、休日家にいる時はパンを作るのが当たり前と思われているので、
やっぱり作ってしまった。
1人で焼き立てパンを黙々と食べる。
うん、これは1人じゃない方がいい。
1人になったところで決して
やましいことややらしいことをしたいわけじゃない。
結局、母の定位置近くにある薬の引き出しをここぞとばかりに片付けて、
掃除機をかけて洗濯物をたたんで…他何しよう…
そうだ、映画を見よう。
ドラマも映画もほぼ観ないのだけど、年に2~3本録画することがある。
が、私は1人で観たいので、そのペースでもたまっていく一方。
今こそ絶好の機会ではないか。
そうして映画を観始めて、いよいよクライマックス。
「ただいまー」
…時刻は13時30分。
お早いお帰りで。
いや外は危険な暑さだもの。早く帰って来なきゃね、うん。
映画を観ると必ず頭が痛くなるので、頭をズキズキさせながら
あの映画のラストを観られるのは果たしていつのことになるのだろう…
と思うのであった。