カウンセリングに通い始めたのは、2020年の2月。
未知のウイルス、コロナがじわじわと広がりつつあった時期。
その後、4月には初めての緊急事態宣言が出された。

私の職場はリモートワークも休業も出来ない職種で、
通常通り会社へ出勤していた。
だから会社帰りにカウンセリングへ行っていたのだけど。

家族にはカウンセリングのことは話しておらず、
ただ「晩ごはん食べてくる」とだけ言ってた。

でもコロナ感染が拡大し、
不要不急の外出は控えるようにという世の中になってくると
会社帰りに寄り道してくることに、母から不信感が漂い始めた。

「どこに行ってるん?」と聞かれても何も答えられない。
このコロナ禍、会社帰りにどんな不要不急の用事があるのか。
納得してもらえそうな嘘は何も思い付かなかった。
結局、言葉を濁すことしか出来ず、母はそれ以上問い詰めなかったけど。

 

職場は基本的に特定日しか残業がないので、残業とは言えない。

「晩ごはん食べてくる」と伝えることが憂鬱でたまらない。

この状況下で、説明出来ない良からぬことをしていると疑われるのも辛かった。

結局、数ヶ月経った後、母に話した。
会社のストレスチェックで医師の面接を受けたこと、
産業医に紹介されたカウンセリングに通っていること。
…今、ここに書いた程度のことをそのまま簡潔に。
母は短く「そっか」と言っただけで、他に何も言わなかった。
それ以降、今に至るまで、この話題に降れることは一切ない。