人事部に医師の面接希望の申請書類を提出して、電話でやり取りをして…。
が、その後、面接の日程はなかなか連絡されない。
ちらっと聞いた感じでは医師の手配や調整に手間取っている印象。
会社の本社は東京で、部署のほとんどは関東にあり、関西の拠点は少ない。
もしかして私が関西で最初の申請者だったとか…?
ようやく連絡された日時は12月24日。
世間ではクリスマスムードで盛り上がっている時に
お医者さんの面接を受けに行くわけか…。
ストレスチェックに関することは“業務の一環”とされているので、
面接は朝9時からに設定されていた。
面接時間だけ業務を抜けさせてもらうことも可能だけど、
その理由を当時の係長に話したくなかったので、半休を取った。
その頃、私はやけに早く出社していたので、
面接時間に合わせて家を出るなら、普段よりだいぶ遅い時間になる。
でも会社へ行くフリをして、いつもと同じ時間に家を出た。
家族にも話さなかったから。
心配をかけたくないから…ではなく。
心配してもらえないことが辛いからという幼稚な理由。
母と姉とは“仲の良い家族”だと思う。
でも“相談できる存在”じゃない。
悩みや相談をしようとしても、まず軽く受け流されるか、
自分の話に持って行かれるかという感じで。
特に会社に関することは…
私が深刻に悩んでいるなら転職を勧めるしかない。
でも何のスキルも役立つ経験値もない中年女が、
現在と同等の収入を得られる職に就けるわけがない。
そうすると家は経済的に苦労することになる。
だから相談されたところで何も言えないのだろう。
仕事に関することは話さない。
そう誓った後でも、私にとって絶望的な人事異動をされた時は、
思わず言わずにいられないことがあった。
が、その後、私がどれだけ落ち込んで無口になっていようと、
「仕事はどう?」「大丈夫?」と聞かれることは一切なかった。
…やはり話すべきではなかったんだ。
面接時間まで、24時間営業の1人カラオケ専門店で時間を潰す。
朝から歌う気力は一切なかったので、ただただボーッとして過ごした。
時間になり、重い気持ちを引きずりつつ、面接会場へと向かう。