まだ未刊ですが3月にかもがわ出版から「難聴とともに働く」が出版されます。
前回の「難聴者と中途失聴者の心理学」と同じく「かもがわ出版」からの出版、また著者も同じく勝谷紀子・他です。
昔から「難聴」「きこえの障害」の研究をする人、心理的ケアを扱える人は非常に少なかったので、過剰な期待を抱きやすいと思いますが、特化型カウンセリングにはメリットもあれば、デメリットもあります。
特化型カウンセリングとは、うつ病、トラウマ、アダルトチルドレンなど、支援対象を明確に打ち出し、専門分野を狭くするカウンセリングです。
そのメリットは・・・
・専門性が明確であることはクライエントが来談を決定する重要な要因になる。
・専門性を明確にすることはマーケティングとしても非常に有効である。
デメリットは・・・
・臨床経験が特定のパターンに偏りやすく幅広いケースを通して養われるはずの柔軟な理解や臨床感覚が育ちにくい。
・クライエントに対して自分が専門にしている障害や疾患の枠組みを通して理解してしまいやすくなる。
すなわち個々のクライエントの背景を丁寧に見る前に専門領域の概念に当てはめて捉えてしまう傾向が強くなる。
「難聴の〇〇さんが××に悩んでいる。」といえば「それは難聴だからでしょう。」などという言葉が返ってくることが多いのですが、〇〇さんが××に悩むのは難聴以外にも様々な理由があります。
同じ難聴者でも育ての親の養育態度や本人の気質が違えば、支援方法が違ってきます。
そのあたりを考えると、特定領域の専門性だけではなく、広範な知識と多様な臨床経験が必要ですね。
親子関係や夫婦関係が上手くいかないのは難聴だからでしょうか?
コミュニケーションがとれないからでしょうか?
このあたりは心理学の基礎から学ぶ必要があります。
心理学の基礎を学んでいるのは言語聴覚士ではなく、臨床心理士です。
心理士は難聴を知らないからといって侮れる存在ではありません。