ベートーヴェン「ピアノソナタ第21番」ハ長調作品53 《ヴァルトシュタイン》

今日 7月5日(金)は、ヴィルヘルム・バックハウスの命日です。

ヴィルヘルム（ウィルヘルム）・バックハウス（1884年3月26日ライプツィヒ - 1969年7月5日オーストリアフィラハ）は、ドイツのライプツィヒ出身のピアニストです。

幼い頃から母親にピアノの手ほどきを受け、ライプツィヒ音楽院に7歳で入学し、アロイス・レッケンドルフに師事。フランクフルトにて、当時全く弟子をとっていなかったオイゲン・ダルベールに絶賛され、1897年から師事し、隔週でのレッスンを受けたといわれています。

ヴィルヘルム・バックハウス

ベートーヴェン「ピアノソナタ第21番」ハ長調作品53

《ヴァルトシュタイン》
ーーー　(約22分)　ーーーーーーーーーーーーーー

演奏：バックハウス

https://www.youtube.com/watch?v=eSWwn6fNaGI

■2019年7月5日　ーーーーーーーーーーーーー

バックハウスの師匠は、スコットランド出身のピアニストオイゲン・ダルベール（1864～1932）。その師は、フランツ・リスト（1811～1886）であり、リストの師はカール・ツェルニー（1791～1857）、その師はベートーヴェン（1770～1827）です。
すなわち、バックハウスはベートヴェン直系の弟子にあたります。

1900年、16歳でデビューし、最初のコンサートツアーを行いました。
1905年、パリで開かれたルビンシュタイン音楽コンクールのピアノ部門に出場し、のちに作曲家として大成するバルトーク・ベーラ（1881～1945）と競って、優勝を手にしたのは知られるところです。

1905からマンチェスター王立音楽院やゾンダースハウゼン音楽院、カーティス音楽院で教鞭も執りましたが、1926年以降は教職につかず、演奏活動に専念しました。

最後のコンサートは、1969年6月26日および28日に開かれた、オーストリアのケルンテン州オシアッハの修道院教会の再建記念コンサートでした。28日のコンサートで、ベートーヴェンの「ピアノソナタ第18番」の第3楽章を弾いている途中で心臓発作を起こしました。

医師団の演奏会中止の忠告を受け入れず、後半のプログラムを一部変更して続行。何とかコンサートを終了させました。演奏会後、直ちに病院へ搬送されたましたが、回復することなく、7日後の1969年の今日（7月5日）、オーストリアのケルンテン州フィラッハで亡くなりました。

今日ご紹介する「ピアノソナタ第21番」は、通称《ヴァルトシュタイン》と呼ばれますが、ベートーヴェンの後援者の一人で本曲を献呈されたフェルディナント・フォン・ヴァルトシュタイン伯爵の名前に由来します。

ピアノソナタ第23番」《熱情》とともに、ベートーヴェンの中期を代表する「ピアノソナタ」です。3つの楽章からなり、楽曲構成は以下の通りです。

（本来は長大な「第2楽章」をもった作品として書かれましたが、曲全体として長大になりすぎ、聴衆の集中力が続かないであろうという理由から外され、この「第2楽章」のみを独立した曲として「アンダンテ・ファヴォリ」WoO 57 と名づけ、単独で出版しています。）

・第1楽章： Allegro con brio（陽気に速く）
ハ長調 4/4拍子ソナタ形式
・第2楽章： Introduzione. Adagio molto - attacca
　　　　　（イントロドゥッツィオーネ. アダージョモルトｰアタッカ）
（序奏（導入部）、非常にゆるやかに - 休まずに）
　　　　ヘ長調 6/8拍子三部形式
・第3楽章： Rondo. Allegretto moderato
（ロンド（回旋曲）、アレグレットよりやや遅く）
　　　　　　ハ長調 2/4拍子ロンド形式

ーーー　(約24分)　ーーーーーーーーーーーーー
演奏：ミハイル・プレトニョフ（1957年4月14日ロシアアルハンゲリスク - )