バルトーク  カンタータ・プロファーナ「魔法にかけられた鹿」 Sz. 94 | クラシックばっか 時空間

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 今日 5月25日は、ベーラ・バルトーク(1881~1945)のカンタータ・プロファーナ「魔法にかけられた鹿」(9匹の不思議な牡鹿)が初演された日です。

 

 

 

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■2019/05/25 0:40 ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 「カンタータ・プロファーナ」とは、イタリア語で「世俗カンタータ」の意味であり、1930年にベーラ・バルトーク・ヴィクトル・ヤーノシュが、テノール独唱、バリトン独唱、混声合唱と管弦楽のために作曲した作品名です。題名はハンガリー語で、「魔法にかけられた鹿」(9匹の不思議な牡鹿)です。

 

1934年の今日(5月25日)、トレファー・ジョーンズ、フランク・フィリップスの独唱により、エイルマー・ビュスト指揮BBC交響楽団によってロンドンで初演され、BBC(英国放送協会)によってラジオ放送されました。

  歌詞は、バルトーク自身が書いたマジャル(マジャール)語(主にハンガリーで話されている言語で、現在のハンガリーの公用語)によるものです。

 楽曲は、以下の3つの部分から構成されますが、連続して演奏されます。

1.「あるところに年老いた父親がおりました」(Volt egy őreg apó)
2.「ああ、彼らの愛する父は」(Hej, de az ő édes apjok)
3.「あるところに年老いた父親がおりました」(Volt egy őreg apó)
    
 歌詞の内容のあらすじは、つぎのようなものです。

1.「猟師の父親は9人の息子に他の仕事は一切覚えさせず、狩りだけを教え込む。ある日のこと、獲物を求めていた息子たちは、魔法のかかった橋で不思議な鹿の足跡を見つけ、橋を渡ってその足跡を辿り、森の奥深くへと進むうちに道に迷い、気が付くとみんな鹿に変身していた。

2.息子たちの帰りが遅いので心配した老父は探しに出かけるが、やはり同じ橋で発見した不思議な鹿の足跡を追って森の奥へ深く分け入り、泉のほとりで9頭の鹿を見つけ、銃を構える。そのとき、一番大きな鹿が「お父さん、私たちを撃ってはいけない。」語りかける。真相を知った父親は、息子たちに帰って来るよう哀願する。しかし大鹿は、角が邪魔をして戸口を通り抜けることができないし、もうグラスではワインどころか水も飲むことが出来ないので、このまま森で新しい生活を送ることにするという対話がなされる。

3.合唱から始まる全体の回想と要約がなされる場面(約3分)。 

 バルトークの高弟であった指揮者のゲオルク・ショルティは、本曲について、民族性や政治情勢のために祖国を捨てざるを得なくなったバルトーク自身を、帰宅することができなくなった息子たちに重ね合わせたと論じているが、本曲は当時のハンガリーのホルティ独裁政権に対する抗議と解されています。


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                      (演奏時間:約20分)

■■ カンタータ・プロファーナ「魔法にかけられた鹿」Sz. 94 □ Béla Bartók - Cantata Profana (1930) - YouTube

□参考□(連続再生)(演奏時間:約19分)
■参考■(連続再生) カンタータ・プロファーナ「魔法にかけられた鹿」Sz. 94 □ Béla Bartók - Cantata Profana, I - YouTube