こんにちは。小山です。
『防火・準防火地域外の10㎡以内の増築には確認申請がいらない』
上記、結構有名な建基法の抜け穴です。もちろん違法・脱法行為じゃないですよ。
私はかなり合理主義なので、必要のない物は徹底的にしたくない派です。けれども今回その認識が変わる出来事があったのでご紹介します。
以前あるお客様(O様とします)に新築でお家を建てていただきました。30坪ない面積ですが、吹き抜けがあり、広い玄関土間があり、居室こそ最低限の数と広さでしたが、中は広々としたとても素敵なお家でした。この最初の家をAとします。
それから数年、二人目のお子様もお生まれになり少し手狭になったためプチ増築をいたしました。平屋の6畳間ひとつ9.93㎡の増築。確認申請不要な大きさであるため、コストを抑える意味でも未申請で建てさせていただきました。この増築をBとします。
さらに数年経った今年、前回増築した平屋Bの上に2階を建て、さらに最初のAにあった大きな吹き抜けに床を張る工事をいただきました。2回目の増築部をCとします。
今回の増築は10㎡を超えるため、確認申請を提出しました。
すると、役所からこんな指摘が―
『最初の増築部(B部分)が法に適合していることを検証してください』
!?
小山「いや、Bって10㎡以内だから確認申請いらない、ですよね。。。?検証っていわれてもどうすれば?書式は?」
役所「それはおまかせします。」
小山「。。。承知しました。」
立場を変えて考えると、この指摘は許可を出す役所の方から見るとしごくもっともなことなんです。
最初に建てたAは設計の許可・施工の検査をちゃんと通って証拠もある。ここに役所から見ると得体のしれないBができた。それが適法かどうかはわからない。その状態で新設のCがくっつきAとBとCでの確認申請という体になっている。
つまり、Aはいいけど、B部分が適法であるか立証してね。じゃないとCの増築認められないよ、というのが役所の言い分。
で、どうなったかですけども。
新築時から営業として私が担当していましたし、設計に移った今でも当然当時のことはよくわかっています。そもそも法的な部分もクリアして増築しています。なので、立証すること自体大した手間でもなく建築の許可は下りました。
しかしながら、考えてみました。
これが例えば、B部分の仕事を他社がやっていたらどうだったか。
その仕事がちゃんとしていたかどうかなど、その会社に聞かないとわからない。
あるいは、20年も25年も前の話であったらどうか。
当時の図面や施工を知る人が誰もいなかったらわからない。
今回のケースで言えば、私以外にB部分の適法性を立証するものがいないのです。
この状況はお客様にとって非常にリスキーなのは言うまでもありません。
役所の担当いわく、「確認申請が必要ないと言っても、出してはいけないわけではないわけで。その時点その時点で適法であるという証を取っておくほうが後々楽ですよ」
確かに―。
家は30年・50年語り継ぐもの。2世代・3世代で使うことを想定したとき、次の世代が使いやすい形にしてあげること、次世代がうけとりやすいパスを渡してあげることが大事です。
今回、苦労しましたが、今の最新の形で認可を受けることができて結果的に良かったと言えます。
増築を考えている皆様、申請がいらない面積であったとしても申請しておきましょう。次に使うこどもたちのために。
以上、よろしくお願いいたします。