「トゥローィカ、シミョールカ、トゥース」は
「3、7、1」である。
オペラ「スペードの女王」の幕数と場数は、
(1幕)   1場、2場
(2幕)   1場、2場
(3幕)   1場、2場、3場
計「3」幕  計「7」場  から成る  「1」つのオペラ
これは既知事項である。
田辺佐保子著「プーシキンとロシア・オペラ」(未知谷刊)
でも言及されてる。が、
2場*2場*3場=「12」=スペードの女王数、
については、あまり触れられてない。ときに、
3*(7+1)=「24」=このオペラの曲数、
に関しても、書かれてるのを見たことがない。
24/2=12である。第12曲に重要なものがはめ込まれてる、
と推察するのが自然である。
#12(2幕1場)「情景と公爵のアリア」。
このナンバー後半の「アーリア」は、
伯爵夫人の孫娘(とチィコーフスキィ兄弟の台本では変更された)
リーザの婚約者イリェーツキィ公爵の独唱である。
同公爵は原作にないキャラであるから、もちろん、その歌も
プーシキンのものではない。チィコーフスキィの作詩である。
♪ヤー・ヴァス・リュブ|リューーーーーーー、
リュブリュー・ビズ|ミェールナ
(ソ<ラ<シ|ドーーー、○レ<ミ<ファ|ソー>レー♪
(拙大意)「私はあなたを愛してます。常軌を逸してるほど、
定規では計りしれないほど、愛してます」
変ホ長=「3」つのフラットの調で書かれてるのである。
さて、なぜ、チィコーフスキィ兄弟は、リーザを原作の
「伯爵夫人の養女」(替え腹益軒の「養女訓」に書かれて、ない)から
「伯爵夫人の孫娘」にとっかえたのであろうか。知らない。
が、こうは推察できまいか。
「養女」というのは通常は「血が繋がってない」のである。
でも、それでは「ドイツ人」エカチェリーナ2世と、
女系ではあるがロマーノフ家の血は繋がってるけれど
やはりドイツ人として育ったピョートル3世を「かけあわせ」てできた
パーヴェル1世が、まるでロマーノフ家と「血が繋がってない」、
とでもいうみたいである。「孫娘」なら、
伯爵夫人の子息のれっきとした娘であり、
血を「ひいて」るのである。ところで、
林家こぶ平は故三平師匠の倅(スィーン)である。
♪スィーン、スィーン、スィーン、スィーン、ニッ・キッ・ゴ・ルゥ~・フ♪
さて、エカチェリーナ2世の孫であるアリクサーンドル1世が急死して
帝位が空白だった間に「デカブリストの乱」が起こるのである。
チィコーフスキィの妹が嫁いだウクライナ貴族の
リェーフ・ダヴィードフはデカブリストの子息(スィーン)である。
領地カーメンカの家にはプーシキンも訪れたことがある由。
デカブリストの「孫」にあたるヴラヂーミル・ダヴィードフを
チィコーフスキィは溺愛し、最期に「悲愴」を献呈するのである。
余談であるが、仏語のSaint-Germainのgermainには、
「血の繋がった兄弟・姉妹」「従兄弟・従姉妹」という意味も
あることを+しておこう。