自転車の後ろになみをのせて走る。
このペダルの重さに、今は慣れてしまった。
俺が痩せているのを気にしているくせに、
労働力としてかなりあてにしているのが納得いかない。
まだ酔っぱらっているらしく、
昔見ていたアニメソングをうたっている。
「警察が来たら降りるんだよ?」
「わかってまーす」
本当は来なくたってだめなんだけれど、
なみは迎えに行くと、
もはや何も言わずにうしろに乗り込んでくる。
まあ、いいんだけど。
かわいいなみをうしろにのせて走るのは、使命感とか、優越感とか、
いろいろあって悪くない。
「なみさん、背中に当たってますよ。胸が」
どちらかというとでかい胸が、先ほどから押し付けられていて、
神経を持っていかれている。
角をまがり、神社を横にした細道を行くと、
川から吹く冷たい風が頬に感じられた。
「なみ」
言っても離れないなみに、背をそらして顔をやや向けながらいうと、
「わざと」
と、楽しそうな答えが帰ってきた。
「お前はばかか」
「いいじゃない。あなたのおっぱいよ」
腰に回した手にちからを込めて、ぎゅうっと胸をあててくる。
「俺には四つもついてませんっ」
ほてったなみから熱をうつされたように、
体が熱い。
「なんならこっちも触りましょうか?」
「こら!」
なんとファスナーに手下ろしてなみがあそこをなで始める。
「やめろって」
「ほら啓くんちゃんとハンドル持ってて」
手を離すように、片手で促していたが、
カーブに差し掛かり、なみの好きにさせてしまうことになる。
最悪だ。酔っぱらうたび、こんなことでは俺の体が持たない。
それなのに、段差が少ない道を選びながらなみを気遣うやさしさ。
あほは俺なのか。
「啓くん、気持ちいい?」
「お前は…、いつか大人になって、今日の行為を恥ずかしく思う日が来るだろう」
「もう大人だもん。」
そう言って、ファスナーの間から手を入れ、
爪先で俺のを擦る。
「ん」
「啓くんがしたんでしょ、大人に」
シャツを着た痩せて小さな俺の背中に、
たぶんなみがキスをした。
「おっきい」
それが背中であることを、俺はか細く光る星に願った。