入学式の前日に吉村くんがスーツをきたところをみたいといったので、
うちに呼んだ。


「似合うでしょ?」
「うん。パンツなんだね」

吉村くんはいつもあぐらですわる。
男っぽいかんじがちょっとわざとらしいくらいにあるけど、吉村くんらしいなと思う。

「会わなくなるのとか、気にする?」

上着を脱いでブラウスになったわたしに少し笑って言った。

「気にするって?」
「たとえば不安になったりだとか」

吉村くんとは毎日あっているわけではないし、家もちかいわけだし、考えてもみなかった。
きっとそんな顔から察したのか、吉村くんはやっぱりというかんじでわらいながらため息をついた。

「まぁいいや」

立ち上がると吉村くんはわたしをうえからかぶさるように抱き締めた。

買ったばかりのブラウスがカサカサと音を立ててしわになっていった。
それが心地よいような、そうでないような複雑なかんじだった。

窓の遠くで桜の花がちらちらとちりはじめて、とてもきれいだった。