勉強は、テストのためにやるもの、という感じ。

テストが返されるときはいつもドキドキと期待感でいっぱいになる。

最高得点と自分のテストに書かれた点数が一緒だと、

本当に満たされる。

時々名前をいう先生もいて、そういうときはよく言ってくれた、と思う。

無表情でいるよりも、無邪気そうに喜んだ方がいいので、

みんなが見ているのをわかっていながら、隣の席の子にピースしたりする。

我ながら、やらしい。


今日理科室を出るときに、

大好きな桐谷先生が同じクラスの女の子に、


「お前、最近がんばってんなぁ」


と言っていた。

先生、私もがんばっています。

いや、その子ほどじゃないけど、他の子を褒める時間があるなら、

私をもっと褒めてください!




あれからけんしろうの反応をえらく気にしてしまうようになった。

今までは、何やったっていいかってかんじだったけど、

もしかしたらけんしろうにもタブーみたいなものがあるのかな、

って思い始めてから、時々言葉を選んでいる自分に気づく。


「最近、さびしさはどう?」


「ああ、誘ってくれたり、メールくれたりする人はいるけど、

好きじゃないし、全然満たされない。さびしいよね」


「そうなんだ」


「けんしろうは、さびしくなったりしないの?」


「あー彼女がいないときとかは、ね。でも今はほら」


手紙をしたりデートをしたり、女の子は不特定多数だ。


「いいね」


「いや、もうじき見つかるんじゃん」


「そっか」


「元彼、とかはやめといたほうがいいよ」


「あたりまえだよ」


元彼、は思い出すこともそりゃああるけど、

もう一度付き合いたいなんて思わない。

いやらしい夢を見たりすることは時々。




日曜日に本屋へ行くと、

隆二君がいた。



「あ」


「あ」


おなじ街に住んでいるから、そういうこともあるだろうと思っていた。

その時ようの対応も用意している。


「隆二君」


にっこりと笑って手を挙げる。

元気にしてる?って顔をする。


「おう」


ちょっと困って、ちょっとほっとしたように、隆二君も手を挙げた。


「元気?」


「うん元気だよ」


なんとなく、ドキドキしてしまう。

好き、とかじゃないけど。


「あたしさ、別れるとき泣いちゃったじゃない?

悪かったなと思って。今はもう元気だよ、ってずっと言おうと思っていたの」


もう気にしていないから、その話題にも触れられます、って示して、

優位に立ちたかった。

振ったことを悪がられる、なんて絶対いやだった。


「ああ、まあ、よかったんじゃん?別れて」


「うん」


じゃあ、と別れてから、ぐらぐらとめまいがした。

思っていたのとちがう。

私の予想の中では別れたことをくやんでいるはずだったのに。


まあ、よかったんじゃん、って。


信じられない。

ぐらぐらしながら本屋を出て、どうにかして家に帰った。