愛子先輩の方を見ながら歩いていた私は、

コンクリートが崩れているのに気付かず、

よろけて道路に一歩飛び出してしまった。


「わっ」


そのとき、冴川先輩の大きな手が私の腕をつかんで、

ぐん、と歩道に引き寄せられた。

そばに寄ると、先輩はずっと背が高かった。


「さえちゃん、かっこいいー。恋しちゃいそうー」


「あ、ありがとうございます」


「よし、ではやよいがプラネタリウム計画を立てるよーに」



別れ際、私とは反対の方向に帰る二人が、

足を止めて手を振りながら、じゃあね、と言ってくれた。

夕日はだんだん赤くなって、

髪がきらきらと透けてみえていた。

二人の顔の影が濃くなって、一層おとなっぽいような気がした。

歩き出してからもう一度、二人の方を振り返ると、

冴川先輩が愛子先輩の襟を直しているところだった。

見てはいけないような気がした。

歩き始めて思い返す。

愛子先輩は、笑っていなくて、うーと首を伸ばしていた。

冴川先輩は、どんな表情だったろう。

思い出せない。

二人は、恋人同士じゃないってわかっているけれど。

一つ年が違うだけで、こうも違うものだろうか。

私は、ちりちりと胸が鳴るのをかんじながら、

早足で家までの道を歩いた。