愛子先輩と冴川先輩は、いつも一緒だ。
二人が並んで歩くのを見ると、
恋人同士にしか見えなくて、
移動教室なんかですれ違うと、隣にいた友達に、
「やよの先輩って、付き合ってるの」
とよく聞かれた。
「いいね、プラネタリウム。
天文部なのに、ちっちゃい時から全然いってないや」
オレンジ色になる前のやわらかい夕陽の中を、
愛子先輩と冴川先輩と並んで歩く。
うちの高校は川沿いにあって、
長い長い土手の道が続いている。
「近々新しく立て直すから、今のところはなくなっちゃう、って新聞に書いてありました」
「えー」
白い手で口を覆って、大きい目をもっと大きくして見つめられると、
私はどきっとしてしまう。
「それは行かなくては行かなくてはいけない気がするなあ。
さえちゃん、どうしよっか」
「日曜日に行くか」
「だって、やよいちゃん。一緒に行ける?」
「あ、はい。行けます」
「やよい、デートとか予定ないの?」
冴川先輩が薄笑いを浮かべてわざと言う。
「ないですよっ。先輩は大丈夫なんですか」
笑いながら、ちょっと睨んでみる。
「俺は土曜に会うから平気」
冴川先輩には同級生の、愛子先輩にはひとつ年上の恋人がいると、
一緒に帰るようになってから間もなく教えてもらった。
「さえちゃんの彼女はねー、すごーい美人だよ」
「まあねー」
二人は恋人じゃないけど、
同級生のもうエッチしたって言ってたカップルなんかより、
ずっとうらやましい関係だった。