皆さんは世界バレエ・フェスティバルの最終公演を楽しんだことと思いますが、私は事情があって断念しました。その腹いせと言ってはなんですが、演目リストの中から気になったものを、できるだけ同じダンサーで動画を集めてみました。これで行った気になりたいと思います。

みなさんはこれを見て反芻してください。

なお、私は実際のステージを見ていないので、勘違いがあったらごめんなさい。

 

「アリシアのために」ヴィエングセイ・ヴァルデス

おそらくヴィエングセイが本人の前で踊ってる映像だと思います。しっとりとした踊りで何よりもアリシアに対する彼女の敬愛の念が感じられます。Bプロのムニェコスといい、ほんと彼女のことを再評価したいと思います。 

 

 

「モノ・リサ」アリシア・アマトリアン、(ジェイソン・レイリー) パートナーが違いますが。アリシアの「モノ・リサ」です。ダイナミックに踊ってます。顔つきも違ってます。これは生で見たかった。

 

 

「ウルフ・ワークス」アレッサンドラ・フェリ、フェデリコ・ボネッリ

これは同じペアでリハーサルの映像がありました。12:50あたりから音付きで通しで踊ってます。

 

 

あと最後に

「タイス」(オルガ・スミルノワ、ウラディスラフ・ラントラートフ)

ぜんぜん違うペアですが映像がきれいなので参考で載せておきます。

 

順不同で思いつくまま書きます。

 

「ロミオとジュリエット」メリッサ・ハミルトン、ロベルト・ボッレ

ハミルトンがかわいいかったぁ。Aプロではカラヴァッジオでコンセプチュアルな踊りでしたが、こちらはもう踊り自体がキュート!!。ジュリエットって設定年齢は14歳くらいだったと思いますが、ほんとに恋に目覚めた乙女の恥じらいと喜びをよく表してました。ボッレの方は私のロミオ像とはちょっと違いましたが、ダイナミックな踊りでこれはこれで見ごたえはありました。ただ、やっぱりボッレってハンサムすぎるんですよね。なんか街のプレーボーイがいたいけな女の子を弄んでるように見えてしまう(笑)。でもそこは自分の思い込みを捨てて、バレエとしてはとってもよかったです。もうハミルトン好きになってもいいですか?

 

「ジュエルズ」ミリアム・ウルド=ブラーム、マチエス・エイマン

とっても高貴な感じがしました。ミリアムは顔もそうですが首から肩にかけての線が育ちの良さを感じさせます。きっといいうちで大事に育てられたんだなぁと。なんかよく分かりませんが見ててそう思いました。マチエスもパートナーとして十分でしたし、いかにもダイヤモンドでした。この演目はオペラ座では見たことがないんですが今度DVD買ってみようかな。ルビーとかどうなってるのか見たい気がしました。

 

「ムニェスコ」ヴィエングセイ・ヴァルデス、ダニエル・カルゴ

これを踊ってるのがヴァルデスって言うところが私的にポイントでした。彼女は前回のバレフェスでは超長時間バランスとか高速ピルエットとか超人的な技を披露してドヤ顔してた印象でしたが、今回はそういう技巧は脇に置いといて表現力勝負です。しかも人形です。人形は人間ではありません。これを演じるのは紅天女を演じるような表現力が必要だったと思います。ストーリーは良く知りませんが、この男女の人形は夜の間だけ意識を持ち自由に動けるようです。女の人形は男に興味津々ですが男の方はなかなか相手にしません。やっと思いが通じてこれからと言う時に朝の光が・・・ユーモラスな表情や動きが随所にありましたが最後はちょっと切ない終わり方でした。なかなか良かったです。ヴァルデスってこういうバレエでもなかなかやるじゃんと、新たな発見でした。

 

「マノン」アリーナ・コジョカル、ヨハン・コボー

コボーがスキンヘッドで出てきたらどうしようと思いましたが、ちゃんとカツラかぶってました。コジョカルはメイクのせいか、最初コジョカルに見えませんでした。一瞬ドロテ?って思ったくらいです。この踊りは最後のクライマックスで感情的にすっごい盛り上がるところです。ガラで見るとそこはちょっと抑えられてしまいますが、そこはこのふたりですからちゃんと表現してました。マノンの心も身体もボロボロになった感じ。デ・グリューのマノンを失いたくないと言う気持ちが良く伝わってきました。例のスピンダイブはコボーのキャッチ能力を考慮してか高さを低めにして手堅く収めた感じです。技術的なものより感情表現に注力したようでした。余談ですが最初のスモークが多すぎて、二人がスモークの中に隠れてしまう時がありました。あれももうちょっと加減すればいいのに。

 

「椿姫 第2幕のPDD」 アリシア・アマトリアン、フリーデマン・フォーゲル

シュツットガルトのペアによる椿姫のいわゆる白のPDDです。二人の恋の絶頂期の踊りです。アマトリアンはほぼすっぴんじゃないかと思う顔でしたが、それがかえって素のマルグリットを感じさせてよかったです。ここではコーティザンではないひとりの女として恋の喜びに浸っているところですからね。彼女の表情と踊りがコーティザンとしては盛りを過ぎた女のやっと掴んだ本当の幸せを感じさせました。

 

「椿姫第3幕のPDD」 アンナ・ラウーデル、 エドウィン・レヴァツォフ

いわゆる黒のPDDです。こちらもよかったぁ。もうさっきから良かったばっかり言ってますが、Bプロはほんとハズレなしでした。感情的にはこちらの方がより複雑で、しかも途中から変化していきますから表現は難しいと思います。しかしその分見るほうも見ごたえがあるので、椿姫ではこのシーンが一番好きという人も多いと思います。アンナ、良かったです。心の機微が伝わってくるような踊りでした。レヴァツォフも負けてなかったです。こういうバレエってかなり演劇的ですから、ほんとバレリーナって演劇のセンスも求められますよね。

 

「白鳥の湖 第3幕のPDD」アシュレイ・ボーダー、レオニード・サラファーノフ

黒鳥が王子を誘惑するシーンです。アシュレイはどこに脂肪が付いてるというわけではないんですが、なんとなくポチャに見えるんですよね。背中かと思ったけどよく見ると筋肉隆々だし。しかしそういう黒鳥もいてもいいかもしれません。表情の作り方とかは良かったです。踊りも楽しめましたし、ある意味健康的な黒鳥でした。サラファーノフは王子様を地で行くようでした。キャラのせいかこの役にピッタリあってるようにみえました。これも私見ですが白鳥の王子って結局のところお坊ちゃまなんですよね。だからいわゆるヒーロータイプの人よりも、彼くらいの方があってるように思います。

 

「じゃじゃ馬ならし」エリサ・バデネス、ダニエル・カマルゴ

エリサのじゃじゃ馬振りが大変良かったです。もうオペラグラスを離せませんでした。表情を見ているだけでおもしろかったです。二人の掛け合いも最高でした。私はあまりバレエにお笑いを求めてはいないんですが、これは楽しかったです。こういうのは登場人物の性格表現の一種ですから、わざとらしさがないです。

 

ざっとですが思いつくまま書いてみました。書き漏らしたものも多数ありますが、決してつまらなかったわけではないです。何度も言いますが今回ははずれなし。チケット代のコストパフォーマンスが大変いい公演でした。

この次は世間的にはガラなんですが、残念ながら私は昨年他界した父の初盆の法事と重なったため見にいけません。皆さんの感想を読んでいった気になります。

と言うことで私の夏は終わりました。今度はマリインスキーです。

 

 

 

8月12日最終日、東京文化会館にて。

 

いやぁ、ほんと良かった!いっさいはずれなし。もう語りだしたらいろいろあるけど、結局最後はフェリが全部持っていきました。

マルセロ・ゴメスを相手にオネーギンのPDDを踊りましたが、あの人ほんと女優だわ。もう顔の表情も含め、感情表現がすごい。見ているこちらに感情の波が津波になって押し寄せるようでした。主人公の胸が張り裂けるような苦悩がひしひしと伝わってきました。これで全幕見たいです。前に一回オネーギンはシュツットガルトで見たことは見たんですが、主力メンバーじゃない方で見たせいか、あまりピンとこなかったんですよね。フェリだったらきっともっと違うものになると思います。ぜひフェリで見たい!!まぁ、無理だとは思いますが・・・ABT来ないかなぁ・・・

とにかくすごかった。カーテンコールも当然ダブルでした。

フェリ様には今回東京に来て踊ってくれたことに、心から感謝です。

 

あと、その他の演目についてはちょっと反芻してから改めて書きます。

今日はここまで。