前回の続きです。
「ジゼル」 ダニール・シムキン、マリア・コチェトコワ
コチェトコワが美しかった! ジゼルがウィリになってからの場面なんで、そこは幽霊みたいなもんですからしんみりした表情なんですが、そこがまたいい。踊りも軽やかと言うよりは文字通り宙を舞うような「はかなさ」みたいなものが感じられました。しかしよく見るとかなりインナーマッスルを酷使するようなパがあったりで、それでフワフワとした感じを表現するところはさすがです。シムキンは若い頃のはじけるようなキレは少し衰えたように見えましたが、この人はもうそこにいるだけでシムキン空間を作ってしまうのがすごいところです。だんだん円熟の境地に向かっているようでした。 ハァ・・・もううっとりです。
「コペリア」サラ・ラム、フェデリコ・ボネッリ
サラ・ラムの踊りはどこまでも端正。いかにもロイヤルらしい踊りです。私個人としてはロイヤルではフランチェスカ・ヘイワードのキュートな踊りが好きなんですが、ロイヤルらしさという点ではサラ・ラムの方があってるかもしれません。流れるような動きの中に要所要所をビシッと決める、かといって決して大味にはならない。そんな踊りに見えました。ボネッリの方はいつもはあまり注目してないんですが、と言うか、サポートの時に脚がガニ股になってチョコチョコ動くところが気になってたんですが、今回の踊りを見て、あれ、この人こんなにうまかったんだと改めて認識です。当たり前と言えば当たり前ですが、今までなんか地味な印象だったんですよね。
「瀕死の白鳥」 ヤーナ・サレンコ
この演目はパートナーが急に欠場になって変更になったものだそうです。それにしてもこの人は改めて職人だわと感じました。多分ステージ直前に「ヤーナちゃん、悪いけど○○ちゃん来れないんだってさ。演目変更してくれる?」って言われても完璧に踊るんでしょうね。レパートリーだから当然と言えばプロだからそうかもしれませんが、それでも一定以上のクォリティーで見せるところはさすがです。 しかもこの演目って見る方もどうしてもロパ様とか意識しちゃうじゃないですか。彼女の白鳥は少し軽いんですが、彼女らしいしなやかな白鳥になっていました。
「くるみ割り人形」レオノール・ボラック、ジェルマン・ルーベ
ヌレエフ版って鬼のような振り付けに見えるんですが、多分踊るほうも大変なんじゃないかと。なおかつこのシーンは少女から大人の女性に成長したクララの内面を表現しないといけないんで、堂々とかつ荘厳に踊らないといけません。かなり難題です。ウィーン国立のDVD持ってますが、なんか必死さみたいのが伝わってきて、それはちょっと違うだろと思った記憶があります。ボラックは時々一瞬ですが表情が硬い時があったものの、難なくこなして勤めを果たしました。ほんとヌレエフは鬼ですね。
「ルナ」 エリザベット・ロス
かねてから常々思ってるんですが、バレエって身体表現ですから自分の体自体もひとつの表現手段なんですよね。よくバレエダンサーのヌードに近い(あるいは完全にヌード)の写真とかありますが、ああいうのもそう意味なんだと解釈してます。ヤーナもヌード撮ってるんですよ。で、この演目を見ててそんなことを思い出しました。全身白タイツで、体の線がはっきりでます。しかしそれに耐える体の持ち主だからこそ踊れる演目というところでしょうか?踊りは良く知らないんですが、月をテーマにしただけあて、月光のような神秘的なものを感じました。
「ヘルマン・シェルマン」ポリーナ・セミオノワ、フリーデマン・フォーゲル
踊り自体も良かったんですが、やっとポリーナを見られたという思いでいっぱいでした。何年か前にミハイロフスキー・バレエでジゼルをセミオノワで見るはずだったのに、体調不良で急遽配役変更。その後も妊娠発覚で来日中止。それ以来やっとです。出産しても体の線はぜんぜん崩れてませんでした。心なしか胸が前より大きくなったような気がしましたが、気のせい?それにしてもかつては天才少女と言われた女の子がもうおかあさんですよ。
スミマセン。バレエの感想になってないですね。
気が向いたらまた続きを書きます。