本日(1月25日)TOHOシネマズ日本橋に見に行きました。お目当てはヤーナのチャイコフスキーPDDです。ほかには演目として「ヴィサラ」「牧神の午後」「カルメン」がありました。

感想ですが、今日はちょっと毒を吐かせてください。「カルメン」についてです。
アコスタが今回の演目で「クラシックバレエ」を引退すると言うことで、この作品も彼の振り付けです。振り付け以外にも美術とか演出とかいろんな面で主体的にかかわったようです。そのためかちょっと力が入りすぎた感じです。念のため言っておきますが、私はコンテとか新解釈物のバレエとかは嫌いじゃないですよ。むしろ興味があるほうです。その上での感想です。

まず、踊り自体にクラシック的な要素もあればフラメンコ的なものもあり、更にどこだか良く分からないラテン系の踊りとか民族舞踊的なものとか、コンテっぽいものとか、ミュージカルダンスっぽいものとか、とにかくいろいろ混ざってます。ル・パルクのパクリ(早口言葉ではない)みたいなのもありました。
それに加えてキャラクターに扮したオペラ歌手が歌いだしたり、バレエダンサーも声を出すところがあったり、ギターや打楽器(テーブルですが)の演奏があったりで、まるで闇鍋みたいにいろんなものが混じってて、見てるだけで消化不良を起こしそうです。それにちょっと重いストーリーが加わって最後は暗いトーンで終わるし、演目自体がまだ未消化という感じをぬぐえませんでした。

いったい何をどう表現したかったんでしょうか?思いついたものをみんなぶち込んだようにしか見えませんでした。もう少しいろいろそぎ落としてテーマ性をはっきりさせたほうが良かったんじゃないかと思います。全体を覆う主調的なトーンが見当たらず、本来ならラストシーンに向かって盛り上がるはずのところが、そこだけ別世界のように唐突に浮いてしまって不自然でした。
個人的な好みで言えば、オープニングのシーンは何かこれから起こることを象徴するような意味ありげなシーンで良かったですし、それと連動するようなラストも良かったです。あの感じをもう少し膨らませてほしかったです。檻のシーンも象徴的で、二人の精神的な主従関係や感情が表れているようでした。ヌニェスの踊りはさすがで、それに救われた感じです。

あとカーテンコールのところでアコスタをステージと客席の全員が暖かく見送る感じは良く伝わってきました。しかしアコスタはどこへ行こうとしてるのか、ダンサーとしてはすばらしいだけにちょっと気がかりになるような演目でした。