本日(1月6日)見てきました。
ご存知のようにポリーナが病気のため出演しません。開場前にゲートのところに係の人がうやうやしく掲示板を持ってきたので、もしや奇跡的に回復して出演者変更の変更のお知らせでは?と淡い期待を抱きましたが、そんな奇跡は起きませんでした。ホームページに出てた内容と同じ文章と、それに加えて支配人のお詫びの挨拶とポリーナの直筆のコピーが出てました。

で、内容ですが結論から言えば悪くはなかったです。代役のアンジェリーナ・ヴァロンツォーワも結構うまい人でしたし、演技力もありました。まぁ、かわいいから許すというのもちょっとだけあります。ひとつだけ難を言わせてもらえば、私はこのストーリーの見せ場のひとつはジゼルのキャラクターの変化だと思うんですよ。最初は恋の喜びに満たされた屈託のない村娘、次に狂気の女、そして最後は死してなおアルベルト(個人的にはアルブレヒトの方がなじみがありますが、配役表に準じてここではアルベルトにしときます)を守ろうとするやさしさと強さを持った女。これを演じ分けるのが見所ではないかと思うんです。特に気が狂うシーンは一番のハイライトです。アンジェリーナは良く演じてたんですがこの人結構美人なんですよ。このシーンは本人が床に倒れこみながら自分で髪留めをはずし、母親役の人が駆け寄って介抱する振りをして髪を乱す、そして本人が次に立ち上がるとそこには顔に狂気をたたえた女が・・・という趣向なんですが、美人なのが災いして髪が乱れた感じが現代風のイケてる女というかロシアン・ホット・ギャルに見えてしまいました。本人はいたって真剣に演じてるんですよ。オペラグラスで見たら薄っすら目に涙さえ浮かべてましたから、かなり感情移入してるんだと思います。見てるこっちの勝手な思い込みなんですが・・・。しかしここを一段乗り越えれば、さらに深みのある演技になると思います。

男性陣もがんばってました。個人的にはアルべルト役の人よりハンス役の人の方が魅力的に見えましたが(バレエ的な意味でですよ)アルベルト役のレオニード・サラファーノフもこの役をいやみなく演じていたので、ジゼルに対し真摯な恋愛感情を持っている感じが出てました。技術的にも名前は知りませんが、ジャンプして両足をパタパタ振動させるやつを何度もやって拍手が出てました。

まったく余談ですが今回コール・ド・バレエも含めて美形が多かったんですよ。そこかいっ!!って言われそうですが。眼福、眼福。

もうひとつ余談ですが、第二幕でジゼルの墓は十字架なのでキリスト教だということが分かりますが、ウィリはどう考えてもキリスト教とは関係ないですよね。たぶんどこかの土着の民俗信仰がベースになってるんだと思いますが、そういうのは人々の自然に対する素直な畏怖感の表れだったりするので、いくらキリスト教支配になっても何らかの形で残っていくんだなぁとか、そんなことが頭をよぎりました。

最後はカーテンコールが何回か続いた後、スタンディングオベージョンしてる人もかなりいました。私もしました。普段だとこれくらいではしないかも知れませんが、ポリーナの代役ということでプレッシャーもあったと思うし、観客がポリーナを期待してチケットを買った人が多い中どこまで満足させられたのか演じるほうも不安だと思ったので、その不安を払拭してあげたいという気持ちからです。少なくともそう思わせる何かはありました。

次は白鳥の湖です。