PassCodeがこの音楽になった2014年、既に地下アイドルと呼ばれる存在に重たいサウンドの音楽やシャウトやデスボイスさせようとする動きは少しずつ出てきていた。
元々バンドをやっていた音楽家である平地さんとバンドを好んで聞いていたメンバーはその波に乗ってPassCodeというグループをリニューアルさせた。2016年にメジャーデビューした後もそういう音楽を背負ってデビューするグループは増え続けている印象を受けている。
PassCodeがやっている音楽自体はバンドを聴いてきた人からすると特に変わったことをやっているわけではなく、沢山の先輩達が創って受け継いできたきたものなので「女性版〜」という紹介のされ方をしていただくことも多い。音楽性という面では目新しいわけではないけれど、女の子(有難いことに今はもう女性と言ってもらえる年齢になった)がやっているという斬新さ(だけっていうと怒られそうだから()つけとくね)で徐々に動員を増やし会場の規模が上がっていた2015年の秋、メンバーの変更があり多くの人が想像する4人であろうPassCodeの編成になったことをきっかけに、そこにいるのが自分達であるための理由を考え出した。ただ歌って踊るわけではなくライブにメッセージを持たせるというのが私の中の結論で、沢山の言葉をライブ中に話すようになった。当初は曲を作っていない"アイドル"が話す言葉に重みなんてないという声を沢山耳にしたし、女の子という、性別や年齢は話せることが沢山制限されていた。2016年にメジャーデビューして以降バンドを背負って6年間同じことをひたすら続けてきた結果徐々にそういう声は減ってきたと思う。勿論昔の方が好きっていう人はどの時代のPassCodeにいることは分かった上で続けるということはある程度変化するということでもあると続けてきて知った。

ここまでの話はあくまでPassCodeの南菜生の視点で、メンバー一人一人が誰かになろうとするわけではなく自分自身で居ようとする姿勢をチームにいる全員が何年間も信じ続けてくれた結果"PassCode"という唯一無二のグループが本当の意味で生まれた。新しいことを始めたときに理解されるまで続けていくということが人から借りていたものがオリジナルになっていくということだと私は勝手に思っている。道を歩くことより道をつくることは難しく、難しいからこそ尊く愛おしい。


という下書きを半年前に書いて更新するかどうかなんて決めずにいつかしたいと思った時にすればいいかな〜なんて気楽に思ってたんだけど、想像もしていなかった状況になっても結局またPassCodeを続ける事を選んだ今だからちゃんと残しておかなきゃいけないような気がしたので更新することにしました。
大きな声で言うほどの事じゃないけれどでも言わないと最初から無かったことになってしまいそうだから、5年更新されなかったブログを通知をとっている物好きや、ふらっと読みに来た人に読まれるくらいが丁度いいんだと思う。


止むを得ず3人で、っていうことが日々多くなっていく中で4人でPassCodeだ、とあえて言い続けた。自分がいない方が、と思わないようにと思って口にしていた言葉はいつからかそうでいたいという願いになっていた。PassCodeを続けることを選んだ3人が嘘をついたと思う人が居ても仕方のないことだと思う。それでもあの時の想いに嘘はひとつもなかったことはこれを読んだあなたには知ってて欲しい。

どんな形になっても彼女が残したものはPassCodeの一部として残り続けていく。それが創るということだと思う。でも、この続けるという選択をただの延命にはしない。格好よくあり続けることが私達ができる最大の誠意だと思う。これからPassCodeがどうなっていくのか、なんてことは誰にも解らないけれどライブ中にふと言った、大切なものを守りたいと思った時の決断はわがままではなくて信念だ、という言葉が自分の中に溶け込んでいくような気がした。

音楽を仕事に出来る、なんてことはPassCodeを始めた当初は想像もしていなかったけれど、来年PassCodeの南菜生になって10年目になるらしい。
誰よりも近くで色んな感情を分け合ってきたメンバーがいたから、自分達ですら信じれない時も信じてくれるスタッフやバンドメンバーがいたから、外で何を言われても一番の味方でいてくれる家族がいたから、なにより今までPassCodeを好きになってくれたあなた達ひとりひとりがいたから。PassCodeを愛おしいと思う理由はそこにあるんだと思う。いつもありがとうしか言えなくてもどかしいんだけど、本当にありがとう。

永遠が御伽噺だったとしても、いつか来る終わりがハッピーエンドでありますように。