埼玉県秩父市に位置するジャパニーズウイスキーを生み出す秩父蒸留所。
羽生蒸留所の生みの父でもある肥土伊知郎氏の孫が創設をした由緒ある、そして歴史と知識と技術の全てが詰め込まれた蒸留所になります。
秩父蒸留所と言われるとピンとこないかたもおおいかもしれませんが、実は秩父蒸留所ではあの“イチローズモルト”のウイスキーが作られているのです。
イチローズモルトは祖父の肥土伊知郎氏が運営していた羽生蒸留所の頃から、この一家で手がけているジャパニーズウイスキーで非常に人気が高いブランドになります。
ここでは、そんなイチローズモルトを作り上げている秩父蒸留所の歴史やこだわり、生産されているウイスキーの銘柄などについてまとめていきたいと思います。
目次[非表示]
秩父蒸留所の歴史は?
秩父蒸留所のこだわりとは?
秩父蒸留所で作られる主な銘柄は?
イチローズモルトの価値や需要は?
秩父蒸留所の有名な銘柄
① トランプカードシリーズ
② イチローズ・モルト 秩父ザ・ファースト
③ イチローズ・モルト ダブルディスティラリーズ
まとめ
秩父蒸留所の歴史は?
秩父蒸留所(引用:NHK WORLD-JAPAN On Demand)
秩父蒸留所が完成したのは、2007年とここ最近の出来事になります。
ウイスキー作りの許可が下りたのは翌年の2008年でこの年の2月から秩父蒸留所としてのウイスキー作りが開始されました。
秩父蒸留所というと、肥土伊知郎氏が作り上げたイチローズモルトを受け継いで生産している蒸留所です。
現在、肥土伊知郎氏の孫が経営を行なっています。
イチローズモルトを生み出した肥土伊知郎氏は1965年に秩父で生まれました。
大学時代から酒造りについてのノウハウを学んできた肥土伊知郎氏は、卒業後はサントリーに就職をしてお酒に携わる仕事をしてきました。
肥土伊知郎氏の祖父もまた、東亜酒造というウイスキーメーカーを経営していたため、そこを継ぐために入社を果たしました。
ここでは、お酒の特にウイスキーについての知識をしっかりと身につけた肥土伊知郎氏でした。
しかし、東亜酒造の経営が傾き始めたことから海外のお酒メーカーの傘下に入ることとなります。
そして、この海外メーカーではウイスキーは取り扱わないとされていました。
そのことから肥土伊知郎氏は現存する東亜酒造のウイスキー原酒を一度、信頼できる杜氏の元に預けることで東亜酒造のお酒を守りました。
そして自らが蒸留所を開設することでジャパニーズウイスキーづくりを続けることに成功したのです。
肥土伊知郎氏は自らの地元である秩父市に2004年に“株式会社ベンチャーウイスキー”を開設しました。
そしてその三年後に秩父蒸留所が完成し、主に羽生蒸留所で作られていたウイスキーがそのまま受け継がれる形となったのです。
もともと人気があったブランドを受け継いだ秩父蒸留所は、新しい試みよりも先代から受け継がれている製法と文化を大切にしながらブランドを守るという形を取ってきました。
そのため、蒸留所が出来てからわずか5年後にはアメリカのウイスキーのコンテストにて“ジャパニーズウイスキー・オブ・ザ・イヤー”を獲得し、さらに知名度と人気を集めました。
ちなみにこの際に賞を受賞したのはイチローズモルトのシングルモルトだと言います。
さらに2017年には、世界中のウイスキーが名を連ねるワールドウイスキーアワードのシングルカスクモルトウイスキーの部門でナンバーワンに輝いたのです。
他にも秩父蒸留所で作られるイチローズモルトは、毎年のように数々の賞を獲得している、まさに世界的にも有名となっているジャパニーズウイスキーなのです。
ジャパニーズウイスキー部門という限られたジャンルでの賞の受賞はもちろんのこと、ワールドアワードでの受賞もかなり多いのです。
このことから、秩父蒸留所で作られるウイスキーは見た目のインパクトや可愛さだけではなく味わいにも確かなものがあることが見て取れます。
秩父蒸留所で作られるウイスキーは、生産量に限りがある上に、日本だけではなく世界的に有名なブランドになります。
そのため、市場に出回る本数はかなり限られており、銘柄によっては通販サイトを通じても手に入れることができないほどの超希少品も少なくありません。
特に、ウイスキーの賞の受賞作品や限定品、ヴィンテージ品などに関してはかなり手に入りにくく、もし在庫があったとしてもかなりの高額になることが予想されます。
秩父蒸留所が羽生蒸留所からウイスキーの元首とブランドを受け継いで、ここまでの成果を残すに至るまでにはそれほど時間はかかりませんでした。
しかし、決して名声やブランド性だけが世間から評価をされている理由ではなく、作り手たちのこだわりや伝統を大切にする心などがあるからこそ、イチローズモルトを中心とする秩父蒸留所のウイスキーは世間から愛されるのです。
イチローズモルトは基本的に手に入りにくいウイスキーと言われますが、秩父市やその近郊の地域では飲食店に行くと味わえる店も多いと言います。
世界的に有名なブランドになっていながらも、地元の取り扱い店を大切にする心もまた、秩父蒸留所の良いところであり愛されるべき部分だと言えますね。
秩父蒸留所のこだわりとは?
秩父蒸留所
(引用:NHK WORLD-JAPAN On Demand)
東京からおおよそ100キロ離れた埼玉県秩父市に蒸留所を構える秩父蒸留所は、秩父蒸留所の先祖であり生みの親ともいえる肥土伊知郎氏の生まれ故郷であり地元でした。
この場所でウイスキーづくりをし始めたのはもちろん、地元でのウイスキー文化の繁栄や地元を活気づけたいという肥土伊知郎氏の思いもあったことでしょう。
さらにそれ以上に、この秩父の土地はたまたまウイスキーづくりにかなり適していた土地だったのです。
街中から車で30分ほど走ると見えてくる秩父蒸留所は、埼玉県の中でも割と小高い丘のような場所に存在します。
この場所は、よくテレビのニュースなどでも取り上げられるほど夏には気温が高くなり、さらに湿度も高いことから暑さを感じやすい土地になります。
また、冬や秋口などにはかなり朝夕冷え込む日も多く、かなり気温の変動が大きい場所です。
一般的にウイスキーづくりについては気温が一定で湿度は低いカラッとした空気の場所が好ましいと言われています。
そのため、ウイスキーづくりのために専用の貯蔵庫を所有している蒸留所も世界には存在するほど、ウイスキー原酒というのは温度や湿度などに敏感になるのです。
しかし、秩父蒸留所では特別にそのような施設は設けていません。
なぜならば、この厳しい環境下に置かれたウイスキー原酒は味わいに甘みとフルーティさが増され、飲みやすさのバランスもしっかりと取れるようなお酒が出来上がると言われているからです。
この土地で美味しくて質の高いウイスキーを貯蔵庫もなしに作り上げるためには、職人たちの腕と知恵が試されます。
湿度が高くてウイスキー原酒にストレスがかかったからといって必ずしも美味しくなるわけではありません。
やはり物事には限度がありますので、湿度もある程度しっかりとボーダーラインを決めた上で、一定の数値から湿度が上がらないように工夫を凝らします。
また、気温に関しても特に寒い時期にはしっかりとした温度管理と毎日の味見が行われます。
秩父蒸留所で作られるウイスキーの原材料として使われているのは、通常のウイスキーと同様に主に水と大麦になります。
この水は大血川渓谷水の水をしており、水質は軟水になります。
軟水はウイスキーづくりには一般的な水です。
しかし、秩父蒸留所で作られるウイスキーに使われる水はより口当たりがまろやかで優しく、透明感のある味わいだと言います。
また、ウイスキーには欠かせない大麦については最近では秩父蒸留所の地元でもある埼玉県産の大麦を使用しています。
もちろん、大麦のできが悪い年や天候などの事情で近隣の都道府県では良い大麦が作り上げられなかった場合には、全国の大麦の生産者に問い合わせをして直接職人が足を運び、出来具合を確認するなどして取引をするという徹底ぶりです。
肥土伊知郎氏はスコットランドに足を運び、現地で本場のウイスキーづくりを学んだ上でその知識と技術を日本に持ち帰ってきました。
そしてその知識と技術を受け継ぐ形で現在、イチローズモルトを守っているのが秩父蒸留所です。
スコッチウイスキーをベースに、しかし日本人の口にあう優しいまろやかな味わいを探求して出来上がった秩父蒸留所のウイスキーは、スコッチウイスキーとはまた違った味わいが楽しめます。
イチローズモルトを中心とする秩父蒸留所で作られるウイスキーは、ホワイトオークやバーボン、シェリーやミズナラなどさまざまな樽で熟成された銘柄が存在します。
そして、全ての原酒についてこれらの熟成樽で試験的に熟成を行うことで日々、新たな味わいのウイスキーを生み出しています。
同じブランドだけど飽きがこない
いつまでも飲み続けられるような軽やかさ、優しさ、飲みやすさがある
これが秩父蒸留所が目指すジャパニーズウイスキーの終着点です。
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