里子ちゃんと離れて、家から出られなくなった。
いつもの散歩コースだった道も、お気に入りの公園も、ベビーカートを押したスーパーも、辛くて行けなくなった。
数か月の時が経った今、冷静に考えられる時間も増えてきた。
このままではいけない。
誰のためにもならない。私は何の役にも立てない。
離れた里子ちゃんのために、何ができるか考えようと思った。
住民票の手続きなどがあり、里子ちゃんの居場所がわかった。
本当は、遠くからでも一目見たかった。顔が見たかった。
でも私がするべきことは、早く里子ちゃんの記憶から消えることだと思う。
二度と会ってはいけない。
里子ちゃんは、国の保護のもと生活しています。
だから私は働いて、税金を納めよう。税金はきっと、児童福祉にも使われるはず。
少しずつ社会に復帰できるように、日が落ちてから外に出る練習をした。
急に思い出して涙が出ても、暗くて見えにくいし、人も少ないから。
スーパーも24時間営業の店なら、夜に行けばいい。ベビーカートの親子連れに会わなくていいから。
少しずつ、働きたい。いつか前みたいに仕事ができるようになって、税金を納めたい。
今できることを考えて、今するべき努力をしよう。
里子ちゃんも、一生懸命生きている。
毎日、幸せを願っています。