窪美澄さんの短編を2冊読み、楽しかったがなんとなく物足りない感じがしていた。

 図書館に行くと何冊か長編があったので、10ページほど読み、「トリニティ」が一番

スッと読めたので借りてきた。

 

 最初は、鈴子の孫娘が主人公なのかなと思っていたが、読み進めていくと、50年ほ

ど前出版社で出会った「鈴子・妙子・登紀子」3人の生きざまが伝記のような感じで書

かれていた。 (この小説のような書き方を「評伝」というのを初めて知った)

 

 鈴子は専業主婦だったが、妙子・登紀子はフリーランスで女性が結婚しても仕事をし

続ける先駆者的ところがあった。 男が結婚しても働くのは当たり前だが、女性が結婚

したら家庭に入るのが当たり前の時代を生き抜いてきた。

 

 仕事は、男よりできて当たり前の時代に家庭もきちんとできるなんてできないことだっ

た。 その中で様々な家庭の問題がこの二人を断ち塞いだ。

 

 二人の仕事の部分は、仕事の大変さが書かれていてもおおよそ全体的に前向きに進

んでいるので、気持ちよく読めた。 (終わりに近づくにつれて仕事も行き詰まってきたが)

 

 しかし家庭の場面は、結構重苦しかった。 それでも生き続け仕事をし続ける登場人物

の女性に感動した。

 

 それでは、孫娘は何だったのか。 話のつなぎの役目かと思ってずっと読んでいた。 最後

の場面で孫娘の描写が続き、今3人に人生の終わりが訪れている時. (妙子・登紀子はす

でに亡くなり)、その3人の「生」をつなぎ生きていく孫娘奈帆がそこにいることに気付いた。

 

 人間は、一人ひとりそれぞれが生きているように見えるが、今まで生きてきた人の意思を

引き継いで実は生きているんだということを奈帆を通して感じた。 心に残る作品だった。

 

 久しぶりにブログを書いた。