特別な年になった2020年。
見えない敵におびえ、満足に人にも会えず、ストレスがたまり続ける毎日。
開催すら危ぶまれていたこの大会が年末に大きなドラマを生んでくれた。
歴史的混戦のM-1グランプリ2020において、革命児“マヂカルラブリー”が優勝を果たした。
彼らは3年前の2017年大会、優勝したトロサーモンの陰で涙をのんだ。
あの有名な「えみちゃん事件」である。
マヂカルラブリーのネタやほかの出演者のネタは後日に回し、まずは今大会のネタ順及び結果を見ていこう。
〇1st ステージ
1. インディアンス(敗者復活組)「ヤンキー」625点(7位)
2. 東京ホテイソン「謎解き問題」617点(10位)
3. ニューヨーク「細かい犯罪が気になる」642点(5位)
4. 見取り図「個人マネージャー」648点(3位)
5. おいでやすこが「カラオケ」658点(1位)
6. マヂカルラブリー「フレンチ」649点(2位)
7. オズワルド「改名したい」642点(5位)
8. アキナ「女友達がライブに来る」622点(8位)
9. 錦鯉「CRまさゆき」643点(4位)
10.ウエストランド「マッチングアプリ」622点(9位)
〇Finalステージ
1. 見取り図「生まれ故郷」(2票)
2. マヂカルラブリー「つり革」(3票)*優勝
3. おいでやすこが「バースデーソング」(2票)
今年の平均点は636.8点。
昨年の645.8点と比べると少し低いように感じるが、2018年の630.4点、2017年の634.3点と比べるとそれほど低すぎることはない。あくまで昨年の平均が高すぎただけという格好である。
(↓「M-1グランプリ2019 影のMVP」)
筆者の個人的な印象としては、インディアンスと東京ホテイソンの点数が思ったより伸びず、非常に悔しい結果に終わってしまったように見えた。今大会でもやはり序盤のコンビは苦しんだ。
また、各審査員の点数平均をとると、巨人師匠と松本人志の平均点が90点を割る結果となった(巨人:88.6点, 松本:89.9点)。決勝を狙える位置にいたオズワルドと錦鯉は、この二人の辛口評価により苦汁をなめた。
Finalステージは近年まれにみる大混戦となった。
いわゆる上方漫才の形式だったのは見取り図のみ。おいでやすこがは歌ネタ漫才、マヂカルラブリーは動き主体のコント漫才。
こういった状況で頭にちらつく”2016年大会最終決戦”での巨人師匠のコメント。
銀シャリの優勝で幕を閉じたこの大会も票が割れた。
最終決戦に進んだのは、しゃべくり漫才の銀シャリ、ともにコント漫才で勝負した和牛、スーパーマラドーナだった。
最終決戦のジャッジ前に話を振られた巨人師匠のコメントは以下の通りだ。
「(僅差だったので)好みになるが、漫才としてどうやってなると、、う~ん」
その結果、巨人師匠を含めた3票を獲得した銀シャリが優勝している。
この評価軸で行くと、見取り図が有利と見える。
実際、最終決戦で巨人師匠は見取り図に票を入れている。
会場のウケ具合では接戦ではあったものの、見取り図よりも、マヂカルラブリーやおいでやすこがのほうが優勢に見えた。
苦節のマヂカルラブリー、
新参ユニットのおいでやすこが、
王道スタイルの見取り図。
良くも悪くも、王道 vs 邪道の様相を呈した最終決戦で
軍配はマヂカルラブリーに上がった。
例の事件がありながらも貫き通した頑固さが実を結んだ、感動のドラマがそこにはあった。
どうしても笑わせたい人がいる男です。