「視点を変えると、見えなかったものが見えてくる」
               
                
野村克也監督の名言

 

 AT車(オートマチック車)全盛のいま、坂道発進に悩む人はほとんどいないと思う。マニュアル車が主流だった時代に育った私は、20代の頃に仕事で大型一種の免許取得が必要となり、教習所に通うことになる。

 学科の成績は問題ないのだが、実技は苦手だった。サイドブレーキを外すのを忘れて、そのまま走行したり、重大な事故に繋がる可能性があるウインカー操作を間違えたり、凡ミスは日常茶飯事だった。

 特に「坂道発進」は食欲が落ちるくらい悩んでしまい、同乗した教官の罵声に、ハンドルを握る手が小刻みに震えた。一人で練習する時間もあり、何度も何度も同じ操作を繰り返すのだが、悩みが解消されることはなかった。

 

 

 ある日、いつものようにアクセルを軽く踏んでから、サイドブレーキを外すタイミングを練習していたのだが、運転席の横にあるブレーキレバーのほんのわずかな動きがひどく気になっていた。

 それが何を意味するのか、因果関係は分からないのだが、レバーが動いたのを確認してからサイドブレーキを外すと、容易に坂道発進が出来ることに気づいたのだ。当時、そのタイミングを発見した自分が本当に誇らしかった。

 冒頭で野村克也氏の言葉を紹介したが、アクセルとサイドブレーキの「タイミング」という抽象的な世界から、ブレーキレバーの「動き」という具体的な世界に視点を移したことで解決の糸口が見つかったのだ。

 では、どうしたら視点を変えるための能力を獲得できるのか?
 私の体験や経験、更にはAIのアドバイスも踏まえて、いくつかの具体的な方法をご紹介したい。過去の記事と重複する方法もあり、3つにまとめてみました。

 

〔物理的に場所を変える〕
煮詰まった時は、デスクから離れて窓の外を眺めたり、近所のカフェに行ってみる。たったこれだけの行動で、思考のループから抜け出せるかもしれません。要するに「気分転換」が新しい視点を生み出すのです!

〔他人の立場になってみる⦅相手の役割を演じる⦆〕
この方法は、人間関係や仕事の課題解決に非常に有効です。自分とは違う視点から物事を捉え直すことで、思い込みや固定観念を壊すことができるのです。想像力豊かな人が得意な方法です。

〔抽象度を変える ― ミクロとマクロの視点〕
一つの問題にだけ集中するのではなく、一歩引いて全体像を俯瞰してみる。
逆に、全体像から具体的な課題へと絞り込んでみる。例えば、私が坂道発進で悩んでいたとき、抽象的な「タイミング」という視点から、具体的な「レバーの動き」という視点へ切り替えたことで、問題があっさり解決しました。このように、抽象と具体を行き来する思考こそが、ブレークスルーを生む鍵になるのです。

 

〔ブレークスルー⦅breakthrough⦆〕
 
困難や障害を突破すること。また、その突破口。

                         デジタル大辞泉 (コトバンク )

 

 以上、3つの方法をお伝えしました。野村克也監督の「視点を変えると、見えなかったものが見えてくる」という言葉は、課題解決だけでなく、一人ひとりの生き方にも応用ができます。

「ピンチはチャンス」という言葉もあるように、目の前の壁をどのように捉えるかで、乗り越えるヒントが獲得できるのです。

 人生には「上り坂」「下り坂」、そして「まさか」の坂があると言われています。私が坂道発進で得た「気づき」という知恵を、人生の「まさか」の場面で活かしていくつもりです。

 

 お陰様で、その後に大型一種免許を取得することができました。私のささやかな体験が、あなたの人生を豊かにするきっかけになれば、これ以上嬉しいことはありません😊