自慢ではないが、一目惚れの経験がない。外見に幻惑されることはあっても、感情の赴くまま

に行動する勇気に欠けているのだ。

 どういう訳か、モノへの一目惚れが多い。居酒屋で流れていた曲に心を奪われ、店員に曲名を

聞いてメモをしたり、カレンダーの絵に魅了され、その画家の回顧展に何度も足を運んだり、モ

ノには不思議と熱中してしまう。

 最近は「麦とホップ」という名の発泡酒に一目惚れしてしまい、ビールに浮気もせず、相性が

いいのか頑固に飲み続けている。

 ビールと発泡酒の違いを大雑把に言うと、麦芽が占める割合と副原料(麦、米、トウモロコシな

ど)の内容・使用量にある。ビールは麦芽比率が50%以上で、使われる副原料も使用量も限定され

ている。発泡酒は麦芽比率が50%未満、もしくは50%以上であっても、副原料や使用量に制限

がない。

 私の好きな発泡酒の謳い文句は「厳選された麦芽とホップを使い、こだわりの製法を採用した」

だが、ほとんどビールの宣伝と変わりない。

 発泡酒はビールではないと友人は言うが、私にとっては「お気に入りのビール」なのだ。モノへ

の一目惚れが多い理由は、飲みながら考えたい🍺🍷🍶