桜の開花予想の話題に比べたら、白木蓮(ハクモクレン)の花は地味な存在かもしれない。

風に散った大きな花弁は、桜が舞い散った後のような風情すら感じさせない。ひっそりと

ただ舞い落ちていくだけなのだ。折り重なり、朽ちていくその姿には、哀れさえ覚える。


 そんな花の存在を知ったのは、スターダスト・レビューが歌った「木蘭の涙」がきっか

けだった。恋人との死別をテーマにした歌で、様々なアーティストにカバーされている名

曲である。


 木蓮が正式には紫色の花だと知ったのは最近である。別名「紫木蓮(シモクレン)」と呼

ばれ、白木蓮はモクレン属で別種らしいのだ。しかし、「木蘭の涙」で歌われる花の色は

「白」が似合うような気がする。純白のウエディングドレスを着る事がなかった恋人に捧

げる歌だけに、なおさらそう思いたい。


                 やがて時はゆき過ぎ
                 幾度目かの春の日
                 あなたは眠る様に
                 空へと旅立った

                 いつまでもいつまでも
                 側にいると言っていた
                 あなたは嘘つきだね
                 わたしを置き去りに

                 木蘭のつぼみが
                 開くのを見るたびに
                 あふれだす涙は
                 夢のあとさきに