里見の城を歩く ⑦ 上総国  勝浦城    登城日2014.12.07
 
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  城郭構造     連郭式平山城(海城)
  築城主      真里谷信興
  築城年            1521年(大永元年)
  主な改修者      正木氏
  主な城主         真里谷氏、正木氏
  廃城年            天正18年(1590年)
  遺構               曲輪、堀切
  指定文化財      なし
 所在地     千葉県勝浦市浜勝浦
 
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千倉海岸に朝日が昇ります
 
  
 二日目の最初は勝浦城です。
 
 千倉から勝浦へはクルマでも1時間強の道のりですが、穏やかな砂浜とダイナミックな海蝕崖が交互に続く海沿いのドライブは快適で、アッという間の道のりでした。
 
 勝浦城は上総の大多喜城を居城とする真里谷信興が里見氏の北上を阻止する目的で築いたそうで、真里谷一族の者が守っていた様です。
真里谷氏は武田信玄と同じ甲斐武田氏の一族ですが、古河公方:足利成氏に仕えた武田信長が上総に所領を貰い、真里谷城を居城として定着したので真里谷氏を名乗りました。
 1552年、家督争いで混乱が生じると、里見義堯の命を受けた正木時茂に攻め込まれて大多喜城は落城し、勝浦城も里見方の手に落ちました。
 
 時茂は勝浦城に弟の時忠を入れ守らせますが、時忠は勝浦正木氏を称し、本家とは別に里見氏からの自立を画策し、国府台合戦の敗戦後には北条氏に近付いて、子の頼忠を小田原に人質に差し出し里見を離反します。
 勝浦正木氏は里見氏とも激しく戦いますが、時忠が死んで兄:時通が家督を継ぐとまた里見氏に臣従をし、頼忠は妻子とともに小田原に捨て石にされてしまいます。
 
 しかし、当主:時通は間もなく急死してしまい、妻子を人質に残す条件で頼忠は勝浦に戻り、正木の家督を継ぎました。
 北条氏と里見氏はやがて“房相一和”の同盟を結び、頼忠の子供達も勝浦に戻ります。
 
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荒波が洗う海岸
  
 
 里見の当主が義弘から義頼に代わり、梅王丸との内紛が始まると頼忠は義頼を支持しますが、大多喜の本家:憲時は梅王丸に加担して、正木氏の中でも争いが起こります。
 
 憲時に攻められた頼忠は一旦勝浦城を放棄し、態勢を立て直して再度奪還しますが、退去する際に頼忠の子供達は40mの断崖を垂らした布を伝って降り、船で館山方面に脱出したそうです。
その中には14歳の娘“お萬”も居り、後に『お萬の布さらし』として伝承されています。
 
 1590年、秀吉の小田原征伐では頼忠が白黒ハッキリしなかった為、本多忠勝の軍に囲まれ、勝浦城は降伏開城し、廃城となりました。
 頼忠は館山に逃れて出家しましたが、家運とは判らないもので、前述の『布さらし』の話を聴いたのかどうか、徳川家康が17歳になったお萬を気に入って、側室に上がる事になります。
 
 家康に寵愛されたお萬は十男:頼宣(紀伊家)、十一男:頼房(水戸家)の生母となり、頼忠は家康から出仕を求められます。
しかしここは固く固辞して安房に留まり、晩年は頼宣の家老になった嫡男:為春とともに紀州に赴き、紀州で生涯を終えたそうです。
 

 
 
勝浦城を歩く
 勝浦城は太平洋に突き出した岬全体が城になった、意外と広い城域なので、城内に入る前に全貌を写真に収めるべく、手前の海中公園に寄って見ました。
 ここには海中展望塔というのがあって、海中の魚の観察が出来るのですが、ここに入るのに渡るブリッジでは雄大な太平洋の荒波を間近に見れるので、ここはお奨めです。
 
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海中展望塔
 
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イワシ追い込み漁の生け簀 露天風呂かと思ったw
  
 
 寄り道のあと、朝市で賑わう勝浦の街並みを抜けて、八幡岬公園に向かいます。
軍船の船溜まりであっただろう漁港を抜けて、トンネルを潜りながら坂道を登って行くと、公園駐車場に着きます。
ここはもう城域でも岬の先端に近い部分ですが、主郭部分が公園化されているので、歩いて廻ってみます。
 
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崖に続く遊歩道
 
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植生は南国のジャングルみたい
 
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先端の本郭跡
 
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先端は凄まじい断崖です
 
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これはマジ恐い!
 
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ここを降りた、お萬の像 さすが!黄門様のお婆ちゃんです
  
 
 海城での戦いに対して勉強不足で、勝浦城の出来不出来はイマイチ判りません。
これだけ高い断崖に囲まれてたら、陸側の一方向の防備がキーになるのは間違いないでしょうが、そうして籠城しても反撃はどうするのか…? 水の手の問題もありそうですしね。
幸い、関西に戻るので、九鬼や熊野の水軍の城と見比べて見たいと思います。
 とにかく、海が綺麗な城でした。こんな所に別荘があればホント最高ですねw
 
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