関東の城探訪  埼玉県  武蔵松山城   登城日 2013.03.17
 
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所在地       埼玉県比企郡吉見町大字南吉見字城山
城郭構造     梯郭式平山城
通称      
築城年      応永6年(1399年)
築城主      上田友直
主な改修者   上田氏、難波田氏、扇谷上杉氏、太田氏、桜井松平氏
主な城主     上田氏、難波田氏、扇谷上杉氏、太田氏、桜井松平氏
廃城年      慶長6年(1601年)
遺構        空堀、土塁
文化財指定   なし
 
  埼玉県比企郡。西部の山系が東部の平野に変わる地で、古くから戦いの繰り返された地域です。埼玉県でも特に城館跡の多い地域で、“比企城館跡群”として史跡指定され、保存されています。
 
 中世の城館として見るべき城が多く、順次訪ねて行きますが、まず最初はその中でも代表的な役割を果たした“松山城”を訪ねます。
松山城や亀山城は全国にある城名なので、ここでは“武蔵松山城”とします。

 

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縄張り図
堀が多く小郭が点在し、かなり複雑です
 
 武蔵松山城が初めて築かれたのは戦国初期で、扇谷上杉氏の臣:上田友直によります。
 当時の関東は、北の山内上杉氏、東の古河公方との三竦みの状況で、位置的にも境界の“最前線の城”だったと思われます。
 
 北条氏が進攻して来ると扇谷上杉氏の上杉朝定は河越城を追われて、武蔵松山城を居城にして大改修します。
  対北条で休戦・連合した三勢力はここを拠点に再び河越奪還を図りますが、“河越夜戦”で惨敗し、上杉朝定の死で扇谷上杉氏は滅亡します。

 その後の武蔵松山城は北条対上杉に武田氏も巻き込んで争奪が繰り返されますが、築城主の上田氏が北条氏の属将として支配する事でやっと落ち着きます。
 天正18年、豊臣秀吉の小田原征伐では前田・上杉・真田の北国軍に囲まれて降伏・開城します。
 
 関東に入った徳川家康はここに桜井松平家の松平家広を入れ、武蔵松山藩としますが、10年の後に浜松に転封し、川越藩領となった武蔵松山城は廃城になります。

 

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搦め手登り口にある岩室観音堂
 
 
 
武蔵松山城を歩く
 
 最寄駅は東武東上線の東松山駅です。
東口に降りてまっすぐ東進すれば20分くらいで着くと思います。
今回は複数巡るのでクルマにしたから、R407でこの地区の名所:吉見百穴を目指します。
 
 案内看板に沿って東松山市街の東を流れる市野川まで行くと、特に案内は無いものの、対岸にナベを伏せた様な山が見えるので、すぐに判りますよ。
 吉見百穴の駐車場に停めさせてもらって、城址に向かう前に、吉見百穴のお土産・軽食の店に入ってみます。
 
 何故なら、店に色んなパンフがあって、武蔵松山城のものも有るのです。 飲料水とお菓子を買って、ついでにパンフをお願いします。 
これ重要なGIVE & TAKEですから、皆さん守りましょうね。 
ここの店員さん、いろいろ情報をくれました。

 

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ハートの洞穴
 
 さて、いよいよ登城です。 
大手は北側になる様ですが、集落の中なので、無理せず搦め手から入ります。
川沿いの南側は急な斜面ですが、竪堀の入口に“岩室観音堂”があり、そこから入れそうです。
 
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かなり嶮しい谷間です
 
 
 お堂を過ぎると急な斜面ですが、鎖が張ってあるので、それを伝って登ります。 
途中でトンネルになりますが、穴がハート型に見えて、これカップルにはいいかもw
 
 登りきると小郭の平地になり、奥にはまた空堀があって、その上にまた小郭がありそうです。 
堀は地形に沿って折れを持ち、ほぼ同じ高さで続きます。 
 郭同士は土橋でつながってますが、帯曲輪の様で、梯郭式より輪郭式に近い縄張りです。
 
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土塁、空堀はよく残っています
  
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 頂上の本曲輪に着きました。 
50m四方ほどの平地で、ある程度の建物は建つスペースですね。
しかし、ここまでの郭が狭いものばかりで、堀の多さばかりが目立つ縄張りです。
 守り優先の城かなぁ?…とも思いますが、小郭が点々と孤立してては兵力の分散にしかならず、個別撃破されてくのは目に見えてます。
抵抗しながら兵力を維持しつつ、徐々に退いて行ける縄張りでないと、長くは持ちませんね。
おそらく桜井松平家の時には山のエリアは放棄されてた事でしょう。

 

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本曲輪跡
 
 
 
 下城して“吉見百穴”を覗いてみました。
古墳時代の墳墓跡ですが、いわゆる風葬の形式の様です。
 ひとつの穴には何体か安置できる様な広さで、こんな形式の墓地は宇都宮にも在りますが、この地方の風俗を興味深く拝見しました。
 
 百穴の下には大戦中に疎開してきた工場のトンネルもあり、そちらも見学できます。
 
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