余録:熱中症防止策
試飲サービスというとデパ地下が思い浮かぶが、江戸時代も試飲で人気だった商売がある。
その売り声は「本家烏丸、ビワヨーオートー」--京都・烏丸に本舗があった「枇杷葉湯(びわようとう)」というビワの葉と薬草類を煎じた薬湯のことである。
▲売り声はこの薬湯が暑気あたりや霍乱(かくらん)、今でいう熱中症に効くと続ける。
そしてお代はいらない、みなに振る舞うので、よかったら買ってくれというのだ。
夏の間、店頭や行商の路上で行き交う人に振る舞ったが、おかげで枇杷葉湯は浮気な人を指す言葉になった。
▲「売りながら枇杷葉湯は立ちくらみ」の川柳もあって、その薬効のほどは知らない。
しかし炎天下の往来で通行人に水分をとらせたのは熱中症の防止に大いに貢献したろう。
この夏、その熱中症防止策がひときわ気がかりだ。
▲きのうは九州南部で平年よりも16日、昨年より22日も早い梅雨明けとなった。
すでに関東地方も先日、梅雨時としては記録的な暑さに見舞われている。
来月は西日本・東日本ともに気温は高めになりそうだとの見通しを聞けば、なかなか厳しい節電の夏が予想される。
▲猛暑の昨夏、熱中症で手当てを受けた人の半数は65歳以上だった。
節電の呼びかけに一生懸命に応じようとする律義さが健康を損ねる結果を招いてはやりきれない。
エアコンの上手な使い方や水分補給など、周囲もお年寄りには十分な目配りをしたい暑さとの戦いだ。
▲気象庁は今夏、35度以上が予想される猛暑日に「高温注意情報」を出して熱中症に注意を呼びかける。
猛暑対策でも、お代はいらない、みんなに振る舞うとの心意気をあちらこちらで見たい震災の夏だ。
***社説終わり***
節電も大切ですが、一番大切にしてほしいのは自身です。
皆が知恵と工夫を使い、この夏を乗り越えられることを願っています。
パスカル進学教室(茂原市)