余録:「しゃくし定規な日本」
お隣の韓国では多くの人々が、口には出さずとも日本の技術や社会のありようを評価していた。
それが、かなり崩れてしまったようだ。福島第1原発の惨状や、もどかしい対応を見れば無理もあるまい。
だが最近、被災者支援を巡る二つの逸話を聞いて、韓国側には以前から別のもどかしさがあったことを知った。
まず一流企業の日本支店のケースだ。07年の新潟県中越沖地震の際、この支店は仮設住宅用の家電製品提供を担当官庁に申し出た。
だが財務諸表の提出を求められるなど難航し、断念した。
このため今回は独自に韓国からラーメンなどを大量空輸し、取引企業の助けを借りて被災地に届けた。
次は来日したキリスト教会関係者の話だ。
こちらは阪神大震災の時、在日同胞への支援計画が役所の壁にぶつかった。
今回は日本側の教会の協力で、救援物資満載のトラックを派遣した。
目的地に着くと被災者から「もっと奥に、もっと困っている人たちがいる。先にそっちへ」と言われ、感動の涙を流したという。
こうした例が他にどれほどあったかは知らない。
ともあれ大震災後の一時期、ソウルの新聞には「しゃくし定規な日本」に苦言を呈する記事が目立った。
日本の組織には事細かな規則やマニュアルがあふれている。
あまりにも融通が利かない。それで急場の対応が遅いのではないか。そんな指摘である。
融通が利き過ぎて不正が横行するようでは困る。
しかし責任逃れを兼ねたしゃくし定規もご免被りたい。
おおらかさがしぼんできて、息苦しさも感じられる最近の日本だが、せめて被災者のためには精いっぱいの便宜を図るべきだろう。
***社説終わり***
ルールはルールですが、「臨機応変」が問われる状況もあります。
ディズニーランドのように、各自の判断で「みんなのために何ができるか?」を考えて行動する人が増えたら・・・と願います。
パスカル進学教室(茂原)