主婦年金問題 与野党協力して決着を急げ(5月18日付・読売社説)
専業主婦の年金資格の切り替え忘れ問題で、社会保障審議会が17日、対応策を決定した。
政府は国民年金法改正案としてまとめ、今国会に提出する方針だ。
年金制度への不信感をこれ以上深めぬように、与野党で協力し、決着を急いでもらいたい。
会社員や公務員の妻は「第3号被保険者」と呼ばれる。自らは保険料を払う必要がない。厚生年金や共済年金の加入者全体で、保険料に相当する額を負担する仕組みになっている。
ただし、夫が脱サラしたり、妻のパート収入が年130万円以上になったりした場合は、国民年金に切り替えて、主婦も自分の保険料を払わなくてはならない。
ところが、切り替えをせずに保険料が長期未納になっている現役世代の主婦が、42万人もいることが判明した。
旧社会保険庁による周知の努力不足も一因だ。この人たちは低年金や無年金になる恐れが強い。
一方で、未納期間を社保庁が3号扱いしたため、受給年齢を迎えた後、本来の受給額以上の年金を受け取っている高齢者も5万3000人いる。
厚生労働省は昨年末、42万人について、未納期間を3号と見なすことで“救済”を図った。
しかし、これでは、きちんと年金資格を切り替えて保険料を納め続けた人と同じ年金を受け取ることになるため、不公平との批判が噴出した。白紙撤回されたのは当然だろう。
新たに打ち出した対応策は、次のようなものだ。
42万人の未納期間を保険加入期間に算入するものの、その間の保険料は払っていないため、年金額は減らす。減額されたくない場合は、10年前まで遡って保険料の追納を認める。
本来より多い年金を受け取った高齢者には、過去5年分について差額の返還を求める。ただし一定の所得以下の人は除外する。
これを見ると、救済と公平性のバランスにかなり苦心したことがうかがえる。
ただ、支給済みの年金の一部を機械的に返還させるのは酷ではないか。厚労省は、9割近くが返還請求の対象から除外されるようにするという。高齢者の生活に十分配慮した対応が求められる。
厚労省は、社会保障と税の一体改革の中で、現行の年金制度の手直しを急ぐ方針だ。分かりにくい専業主婦の年金の在り方についても、改善を検討すべきだろう。
***社説終わり***
海外では、日本に比べて多くの人が自国の年金制度や資産管理について理解をしています。
日本では、ほとんどの人が役所任せなのではないでしょうか。
しかし、これには日本の年金制度が他国に比べて複雑、ということに原因があります。
わかりやすい制度の確立、政府には急務になるのではないでしょうか。
そうでなければ、こういった問題は解決に向かわないと思います。
パスカル進学教室(茂原)