金融の役割 復興を支える融資の充実を(5月17日付・読売社説)
震災から着実に復興するには、経済の血流と言われる金融がしっかり機能することが重要だ。
被災地ではこれから、工場や店舗、住宅などの修復や再建のため、多額の資金が必要となる。地元の金融機関が、積極的に資金を貸し出すことが欠かせまい。
被災地では銀行も経営に痛手を受けたが、それを理由に融資を渋るようでは困る。
必要とあれば、公的資金による金融機関の資本増強もためらうべきではない。
政府は震災後、政府系金融機関による低利融資をはじめ、中小企業の資金繰り支援策を強化した。倒産の防止などに一定の効果は期待できるだろう。ただし、とても万全とはいえない。
リーマン・ショック後の不況で公的な保証枠を使い切り、新たな支援を受けられない中小企業も少なくない。既存の負債に加えて、事業再建のため新たな借金を抱え込む「二重ローン」も、経営の重しとなる。
政府は被災地の要望をよく聞いて、金融支援策のさらなる充実を図ってもらいたい。
被災地の経済活動が、復旧から復興に移行するにつれて、民間融資の役割は一層重くなる。
地元企業と密接に付き合ってきた銀行や信金、信組でないと、地域での重要度や事業の将来性を見極めたうえでの、的確な融資審査や経営指導ができないからだ。
とはいえ状況は厳しい。宮城、福島、岩手の東北3県を拠点とする地方銀行8行のうち、6行が今年3月期決算で赤字になる。
被災した取引先からの融資回収が難しくなり、不良債権処理の損失が膨らんだという。
今後、融資を拡大するには、自己資本の充実が必要となるが、業績が悪い中で、自力で多額の増資をするのは難しい。
金融庁は、公的資金による資本増強を促すため、今国会で法改正する方針だ。
これまで公的資金注入の条件としてきた収益計画の達成などを、被災地の銀行には義務づけないという「震災特例」を設ける。
信金、信組が経営難に陥った場合は、経営再編などを条件に公的資金の返済を免除する。
公的資金注入に対する民間の抵抗感はいくぶん和らごう。政府・与党は実現を急いでほしい。
仙台の七十七銀行など公的資金の申請を決めた銀行もある。他の金融機関も、地域経済の復興のため前向きに検討してほしい。
***社説終わり***
公的資金注入については、賛否両論あるかもしれません。
国からの政策保護を受けずにつぶれてしまった会社もたくさんあるでしょうから。
しかし、お金の流れが止まってしまうことは経済的観点からもよくないと思います。
地域復興、日本経済復興のために、何ができるか?
金融機関をはじめ、各業界の方々に考え続けてほしいと思います。