先行するきなこちゃんが
3頭の犬と絡んでいる。
仲良く一緒に道路を行進している。
1台の黄色い軽トラが行く手を塞がれているみたいだ。
小太郎も一緒に行こうとして
押さえるのに苦労していると
「ガンっ」という音がした。
無理に進んだ軽トラがきなこちゃんにぶつかったようだ。
きなこちゃんは道路脇の草むらに座り込んでいる。
「きなー❗」
と叫んで、きなこちゃんのもとへ走った。
近くの木材廃棄物の処理工場の人も数人出てきた。それほど大きい音だったのだ。
きなこちゃんのそばへ座ると
きなこちゃんはほどなく立ち上がって
今来た反対方向へ歩いていった。
(きなこちゃん、どこへ行く?)
小太郎と少し先のいつも休憩する場所できなこちゃんを待ったが、一向に来る気配がない。
きなこちゃんを最後に見かけた場所へ小太郎と戻った。
名前を呼んでも来ない。
反対方向へ行ったとき追いかけておけば良かったと悔やまれた。
小太郎に
「きなこちゃんを探せ」
と言ったが、見当違いの方向へ向かっている気がする。
工場のようなところへ入ったが、きなこちゃんはいない。不法侵入だが、緊急措置として許してもらおう。
確かに以前きなこちゃんはこの中を探索していたが、今いるとは思えない。
小太郎に期待するのはやめにしてきなこちゃんを探すのは小太郎を家に置いてからにしようと家に戻った。
小太郎を家のなかに入れたあと、きなこちゃんを探しに車で向かった。
まずいなくなったあたりから探し始める。
山のなかを藪こぎしたり、近くの工場や草むらなど隠れそうなところをくまなく探したが見つからなかった。
元飼い主さんの家にも行ってみたが、いなかった。
翌日も小太郎の散歩がてらいなくなったあたりを歩いてみたが見つからない。
小太郎に
「きなこちゃんを探せ」
と言ってみたが、こいつはだいたい当てにならない。
自分が行きたいところにリードしてしまう。
きなこちゃんを大好きな家人もかなり心配している。
事故の状況を話しているので最悪の結果も考えているようだ。
賢い子だから自分が死ぬ姿を見せないようにしているのかも。
そんな思いも頭をかすめていた翌日の夜、家人が
「きなこちゃんの声が聞こえる。」確かにきなこちゃんの声に似ている犬の吠え声が聞こえる。
あ~きなこちゃん、吠え声で別れの挨拶に来てくれたのか、ありがとう❗
なんて思いながら外に出てみたが、案の定いない。
翌朝、きなこちゃんが帰ってるかもと思ったが、やはりいない。
今日も小太郎と寂しく散歩に出かけた。
夜、家人がまた
「きなこちゃんの声がする」
と言って外へ出ると
「きなこちゃん、よく帰ってきたねぇ」
「きなこちゃん帰ってきたよぉ❗」
外に出てみると
玄関付近にきなこちゃんが座っていた。
「きなこちゃん、よく帰ってきたねぇ」
家人が家から鶏もも肉を取ってきて
きなこちゃんに与えた。
「ほらっいっぱい食べな」
お腹が空いていたようで猛烈な勢いで食べていた。
僕が近づくと怖そうに逃げてしまう。
また勘違いされてるらしい。
家人が笑っている。
「またおまえがやったと思ってるんだよ」
以前飼っていたポメラニアンが車にぶつかったとき
助けた僕がやったと思われて咬まれたことがあるのだ。
そのポメラニアンは2度目の交通事故で死んでしまったが。
翌日の散歩はきなこちゃんも一緒の賑やかな散歩になった。
相変わらず僕を警戒しているのがありありとわかるが、元気になったきなこちゃんを見るのは嬉しい。