前半

 

序盤は、レアルが後方からビルドアップするのに対してリバプールがハイプレスをかけてショートカウンターを狙う展開。プレスによる守備・奪ってからのショートカウンター両方においてリバプールの選手の判断の早さが目立ち、試合の入りはリバプールが優勢に見えた、一方、レアルの選手はいつも通り技術の高さを生かしてビルドアップしようと試みていた。ビルドアップはうまくいかないものの、リバプールの攻めに対して4-4-2のブロックの4-4全員がBOX内に入るなどしてスペースを消し、シュートコースを消して冷静に対応。

 

この状況が変わったのは、サラーが怪我をし、ララーナが投入されてからの時間帯。

レアルの選手がリバプールのプレスに慣れ、個人技やワンツーによって中盤でプレスをはがせるようになる。

35分まではお互いに中盤で相手を捕まえきれないオープンな展開に。

 

35分過ぎからは、リバプールの選手の守備ブロックのスタート位置が下がり、ボールの受け手へのプレスが弱まったため、レアルが押し込みを開始する。リバプールは、ボールホルダーへのプレスはかけるが、その後のサイドを変える横パスへの圧力がなく、左右に揺さぶられ始める。結果として、オフサイドにはなったが、右のイスコからのクロスにロナウドがヘディングで合わせ、ベンゼマがGKの弾いたボールにつめてゴールラインを割ることに成功する。

 

この時間帯、リバプールの守備が全くうまくいっていなかった訳ではなく、最終ラインでボールを奪うことはできていた。しかし、レアルの選手が密集しているボールを奪ったサイドから縦に攻めようとし過ぎ、攻めあぐね、結果としてチーム全体の押し上げができずにレアルの押し込みを許してしまっていた。奪ったサイドからサイドチェンジをできれば守備ブロックを押し上げる時間を作ることができ、自分たちの攻撃の時間をつくれただろう。

サイドチェンジができなかった理由は、

・サラーの不在によるマネ、フィルミーノへの負担・マーク負荷の増加

 ララーナではポストとして機能しなかった

・個人技で中盤で時間を作れる選手のふざい

・ボールを奪って前を向いたときに、平行パス(横パス)の選択肢を作れず、選択肢があったとしても見えていないのか選択できなかった点

が挙げられる。

 

後半

 

始まりは、前半終盤から状況変わらず。2分にはイスコにクロスバー直撃の決定機があったが、この決定機の始まりは、リバプールが奪ったボールを縦に攻めようとしてカットされたこと。サイドチェンジできないリバープールが自分たちの首を絞めていく。

 

そして、ベンゼマの得点。裏を狙ったベンゼマに向けて、中盤で前を向いたクロースが浮き球で配球。パスが長すぎたため、カリウスが難なくキャッチする。カリウスは、すぐさま味方の足元に配球することでカウンターの起点を作ろうとするが、抜け目なく狙っていたベンゼマが出した足に跳ね返ったボーがゴールに入った。一見、カリウスのミスだけが注目されるが、チーム全体としてレアルが機能し、リバプールが機能不全に陥っていたこと、ベンゼマが抜け目なく狙っていたことを考えれば、レアルに得点が生まれたのは必然であったと考えられる。1-0でレアルがリードする。

 

失点したリバプールは前に出るようになり、直後に得たコーナーキックから得点する。8分ごろ、右サイドからまたも縦に攻めたリバプールだったが、ルーズボールが偶然にサイドチェンジになり、左サイドからのクロスでコーナーキックを得る。ロブレンがラモスに競り勝ってGKの前にヘディングしたボールにマネが飛び込んで詰め、ゴール。1-1となる。

 

その後は、レアルが押し込み、リバプールは奪っても攻めあぐねる状態が続く。試合を決めたのは、イスコとの交代でピッチに立ったベイル。押し込んだレアルは、左サイドからマルセロがクロスを上げ、ベイルがオーバーヘッドキックで合わせてネットを揺らした。レアルの押し込むシステムと、選手個人の技術や身体能力の高さを見せつけるスーパーゴールだった。2-1とレアルがリード。

 

その後、リバプールは最終ラインやGKからのロングボールをフィルミーノやマネに蹴り、こぼれ球を回収するという攻め方をとる。しかし、サラーの不在によって二人にはカゼミロやラモスが集中的にマークにつけてしまい、競り勝つことがなかなかできずにいた。しかし、リバプールに立て続けにチャンスが訪れる。25分には右サイドをマネ・ワイナルドゥムの関係で崩して、カットインしたマネが左足でシュートを放つが、左ポストに嫌われてしまう。リバプールの同サイド攻撃が成功した場面である。27分には、カリウスからのロングボールにフィルミーノが競り勝ち、そのこぼれ球の回収からチャンスを作った。

 

 

試合を決める3点目は、またもやベイルの個人技だった。マルセロのサイドチェンジを受けたベイルがカットイン気味に持ち出してロングシュート。無回転で飛んだボールはキャッチしにいったカリウスの手をはじいてゴールラインを割った。このシーンもカリウスだけの責任ではなく、レアルの左右に揺さぶるシステムにリバプールの中盤のスライドが間に合わなかったというシステム的な問題がある。 

 

試合はそのまま終了。3-1でレアルマドリードが史上初のCL3連覇成し遂げた。

 

采配について

 

クロップ監督は、ハイプレス・ショートカウンターを目指した。サラーの怪我による離脱は。それまで機能していたプレス・カウンターシステムを機能不全に陥れてしまった。そのような事態に対して、奪った後にサイドチェンジすることで、守備ブロックを押し上げ、自分たちの時間を作るというシンプルで有効な手段を事前にシステムとして仕込めなかったのが敗因の一つだろう。

 

ジダン監督は、ビルドアップからの左右の揺さぶりで隙を作るのを狙い、ハイプレスがきついと予想された序盤は技術で時間を作ることのできるイスコを使い、後半のプレスが弱まる時間にBOXで勝負できるベイルを投入した。選手層の厚さ故の考え方である。

 

以下に詳細分析を載せるので、興味のある方はぜひ。

https://drive.google.com/open?id=1stDp4_cyVTZJsi_n__qelezpL7KzrVc4