どうもです


お待ちかねかどうかわかりませんがマイナー論点シリーズ

今回は民法から


相続回復請求権

民法自体が重要ですからマイナー論点ではないかもしれないですが、個人的にあまり得意でない論点。



ちなみに、この相続回復請求権、難解なのに(私だけ?)テキストにも詳細に書いていません。

よって今回は、主要な要件効果や判例を除いて、講義の内容や私の理解、六法を参照して書いています。

間違いがったらご指摘ください。



表見相続人が真正相続人の相続権を否定して相続財産(権)を侵害しているときに、真正相続人が相続権を主張して回復することができる権利です。


この権利、なぜあるのでしょうか?

そもそも、表見相続人が無権利者であり、真正相続人が権利者であるならば、所有権に基づく返還請求・妨害排除で成立するハナシです


ちゃんとした立法趣旨などは知りません( ゜∋゜)


たぶんこういう理由でしょう

相続人としての地位は包括承継ですので相続する財産はさまざまなものがあり、個別に所有権に基づく権利を主張していたら何年かかるの?ってこと。


包括承継する権利だから、包括的に回復する権利をつくろう!!ってこと??


土地、家くらいならまだしも、車・冷蔵庫・テレビ・DVDドキドキなどなど


要はめんどくさいから全部ひっくるめて解決しようってことでしょう(たぶん)

相続回復請求は、所有権的請求権という概念を捻じ曲げるものだから、反対に短期消滅時効をつくり、一定の制限を課したのかなと。



では相続回復請求権の


要件

①表見相続人よる真正相続人の相続権の侵害

②真正相続人は個別に財産を指摘する必要がない(いわば相続人としての地位?)

③所有権者なのに短期消滅時効(知って5年相続から20年)がある(重要)


効果

相続財産権の回復請求ができる




さて、この相続回復請求権ですが誰に対してこの権利を行使できるのか?ってことも論点です(・_・;)

単に相続財産を侵害している者ではないです。

まぁ、答えとしては表見相続人に対してですが・・・・どういったものが表見相続人といえるか?



表見相続人は自分が表見相続人であることについて善意無過失である必要があります。

悪意or善意有過失の者は表見相続人ではない!!

単なる不法行為者!!



よって、この者が上記の短期消滅時効を援用することはまかりならん、といってます。判例が


ようは、悪意or善意有過失の表見相続人等が真正相続人に対して5年たったから相続回復請求できないよって言えないってことです。



うーん、この理屈すんなりと頭に入りませんね

というか、当たり前すぎてなぜ論点になるのかが解りませんでした。

あくまでも善意無過失の者(表見相続人)に相続回復請求ができるのに、それ以外のものは相続回復請求権の消滅時効を援用でいないって。。。。当たり前だ!!



普通の消滅時効に置き換えれば当然のハナシです


Aさん「12年前、ソ○プ行ったときに貸した3万円返して」


Bさん「あーない。ムリ。つーか借りてねーし。俺ソ○プなんてとこ行ったことねーし」


Aさん「フザケンナ!!司法書士の中央研修のときに合格祝いって言って行ったじゃねーか!!Cさんもいっしょに行っただろ?おかげで翌日三人ともボロボロだっただろ!!」

    「てめー司法書士のクセに踏み倒すのか」


Bさん「お前も司法書士なら知っているはずだ。金銭の授受、返還の約束などの事実はお前が立証するんだろ?さぁ、立証してみな」


Aさん「グググ、過払い請求でヤミ金相手にぼろ儲けしてるくせに・・・」

    「Cさん何とか言ってくれよ」


Cさん「確かに三人で行って、Bさんは3万円借りたけど、私がBさんに代わって消滅時効援用するよ」


AさんBさん「・・・・・・」



こんなのムリですよね。判例によれば時効援用者は直接の法律上の利害関係を有します。

一緒にソ○プラブラブに行っただけの知人Cは援用権者ではありません。


※ちなみにこれは毎年繰り広げられる光景だそうです






(嘘ですゴメンナサイm(u_u)m)




では、この効果が総則の時効と決定的に違うところがあります


相続回復請求権では、

法律上直接の利害関係を有しても、表見相続人と言えないものからの特定承継人も消滅時効を援用できません。

EX.表見相続人といえないものから更に買い受けたもの。抵当権の設定を受けたもの


これをいうためにこの規定があるのですね?多分


総則の消滅時効ならば、消滅時効を援用できるはずですので

EX.譲渡担権者から目的物を譲り受けたものは、譲渡担保権者が譲渡担保権設定者に負う、清算金の消滅時効を援用できる


相続回復請求権は、表見相続人からの譲り受け人も相続回復請求権の相手方にならないし、消滅時効を援用することもできない(大判大5.2.8  大判昭4.4.2等)



では、特定承継人や第三者はまったく保護されないのか?

消滅時効を援用できるかどうかと、表見相続人や第三取得者が「取得」時効を主張できるかどうかで混乱しました。


結論

 ●表見相続人は、真正相続人の相続回復請求権を「行使できる期間」(知って5年、相続から20年)の間はいくら占有していても時効取得することができない


 ●第三取得者は普通の時効取得が可能(善意無過失10年、or20年)

  また、「通常」、占有には前主の占有期間も参入することができます。その場合は前主の瑕疵をも承継します(瑕疵がないことも)が、この場合、前主(表見相続人)の表見相続人であるということは含まない。と言っています。つまり、消滅時効の援用はできないけれど、時効取得は普通にできるということです。



今日の一問




 相続回復請求権の取引の安全を確保するため、権利を行使することができることを知ってからした相続回復請求権の放棄は撤回できない、「詐欺」・「強迫」及び「制限行為能力」であることを理由とする「取り消し」は可能である。






答え 







誤り

 相続回復請求権は性質上放棄が許されない(大判昭7.4.9)

 なお、20年の時効完成後の「時効の利益」放棄は許される(最判23.11.6)