相続の話になると、
こんな質問を受けることがあります。
「法律で決まっている割合どおりに
分けないといけないんですよね?」
一見もっともらしく聞こえますが、
答えは――必ずしもそうではありません。
民法には、
法定相続分という基準があります。
しかしそれは、
「必ずこの割合で分けなさい」
という命令ではありません。
あくまで、
話し合いを始めるための目安。
スタート地点にすぎないのです。
民法906条では、
年齢・職業・生活状況など
一切の事情を考慮して
遺産分割を定める
とされています。
つまり法律は、
人数で機械的に割ることを
求めていません。
ここで押さえておきたい違いがあります。
- 平等:同じ割合で分けること
- 公平:事情を考慮してバランスを取ること
たとえば、
介護を担ってきた人、
家業を継いできた人、
生活基盤が不安定な人。
それらを無視して
「同じだから公平」
と言えるでしょうか。
相続の専門家は、
家族の中で果たしてきた役割
に目を向ける。
この考え方を
「役割相続」
と呼びます。
競わせるためではなく、
納得感のある分け方を考える
ための視点です。
相続は、
勝ち負けを決める場ではありません。
「公平」を相続人同士で話し合う。
理屈は正しい。
でも現実には、
ここから揉め始めるケースが多い。
なぜなら――
親の想いが分からないから。
本当は、どう分けたかったのか。
誰に、何を託したかったのか。
その判断を、
本来すべきなのは誰なのでしょうか。
次回【第3部】では、
なぜ「遺言」が相続の決定打
になるのか。
被相続人の意思という視点から、
相続の本質に迫ります。
