ルバイヤートの世界(2023.8.19-)

 ペルシャの大学者であるオマル・ハイヤーム(1040-1123)は83歳で死んだが、晩年には学問に飽き、美少年を愛撫しながら、イスラム教が禁じるワインを飲んで過ごした。その詩集が『ルバイヤート』である。

 

 学問のことはすっかりあきらめ、

 ひたすらに愛する者の捲毛にすがれ。

 日のめぐりがお前の血汐を流さぬまに

 お前は盃に葡萄の血汐を流せ。

若い時にこの詩を読んだ辻泰彦(1945-)は、「愛する者」が美人ではなくて美少年であることを知って失望した。しかし辻泰彦は76歳になった時に、この詩の真価を理解した。ペルシャの大学者であるオマル・ハイヤームは、老境に達して性的能力を失った時に、自分を敬愛する大学生ほどの年齢の美少年を愛撫しながら、イスラム教が禁じる葡萄酒を飲んで、この詩を書いたのであろう。オマルの歳になれば誰でも同じである。