野良猫の殺処分、少しでも減らすために…「TNR活動」進む

 野良猫の数を抑えて殺処分を少しでも減らそうと、津市の三重県動物愛護推進センター・あすまいるで18日、県内全域で捕獲された猫に不妊・去勢手術を施す活動が行われた。109匹は手術を受けた目印に、耳を桜の花びら形にカットした「さくらねこ」として、もといた場所に戻された。19日も66匹が施術される予定。

野良猫に不妊・去勢手術を施す獣医師(津市で)=山本哲生撮影
野良猫に不妊・去勢手術を施す獣医師(津市で)=山本哲生撮影

 公益財団法人・どうぶつ基金(兵庫県芦屋市)と県の主催。同基金のメンバーで神奈川県大和市、山口武雄さん(72)ら獣医師6人が参加、佐上邦久理事長(60)が「猫の命を救うため、慎重に手術しましょう


メンバーらは、県内10保健所が仕掛けた「保護箱」(オリ)で捕らえられた野良猫に麻酔をかけ、5匹ずつ部屋へ移動させた。ボランティアが猫の腹の毛をそって耳をカットした後、獣医師が1匹あたり10分ほどのペースで手術をこなした。術後にはワクチンを接種して目薬を差し、ノミ、ダニを駆除した。


 同基金が全国で展開する「TNR(捕獲、不妊・去勢、戻す、の英略語)活動」の一環で、県内では、あすまいるが開所した2017年度にスタート。同基金の活動とは別に、県も独自のTNR活動を行っており、今年度も、インターネットのクラウドファンディングで調達した396万円を元手に既に402匹を施術した。

 あすまいるは、県が目標に掲げる「犬・猫の殺処分ゼロ」に向けた中核施設。施設によると、猫の殺処分は15年度の224匹から、19年度は48匹まで減った。久米徹所長は「猫は繁殖力が強く、殺処分を減らすにはTNR活動が重要。『捕まえた猫を戻すのか』との苦情は減り、一代限りの『さくらねこ』とは共生しようとの機運が高まっている」と話し、手応えを感じているという。