
【AFP=時事】毛皮の終わりの始まりなのだろうか?
高級ブランドが次々と毛皮の使用をやめ、米サンフランシスコは毛皮の販売を禁止することを発表し、英議会は欧州連合からの離脱(ブレグジット)後に毛皮の輸入の全面禁止を検討している。毛皮業界にとって厳しい動きだ。
数十年に及ぶ激しい反毛皮キャンペーンの結果、動物愛護運動家らは勝利を感じ始めている。
ファッションデザイナーのダナ・キャランと自身の名を冠した「DKNY」は先月、毛皮の使用をやめる意向であることを発表。「グッチ」、「ヴェルサーチ」、「フルラ」、「マイケル・コース」、「アルマーニ、ヒューゴ ボスなど、ここ数か月で、今後は毛皮を使用しないと宣言した他のブランドに追随した形だ。
過激な反毛皮抗議活動で知られている動物愛護団体「動物の倫理的扱いを求める人々の会」は、「2018年は、誰もが毛皮にさよならを告げる年だ」と宣言している。
英国を拠点にする動物愛護団体「国際人道協会」は、昨年10月にグッチが毛皮の使用廃止を表明してから流れが変わったと指摘している。また、先月にヴェルサーチのクリエイティブ・ディレクターであるドナテッラ・ヴェルサーチが、「ファッションのために動物を殺したくない。間違っている気がする」と発言したことも、毛皮使用廃止に追い風となった。
HSIのキティ・ブロック会長は、「影響力のあるブランドが残酷な毛皮に背を向けたことで、いまだに毛皮を使っているフェンディやバーバリーなどの少数のデザイナーは、取り残され孤立しているように見えるようになった」と語った。
フェンディを手掛けるカール・ラガーフェルドは毛皮の使用を考え直す様子はなく、「人々が肉を食べ、レザーを身に付ける」限り毛皮を使い続けると述べている。
■次はレザー
ビーガン(完全菜食主義)を推奨する運動も行っているPETAは、レザー業界にも狙いを定め、「次はあなたたちだ...」と警告している。
フランスモード学院のナタリー・ルエール氏はAFPに対し、PETAが言いたいのは、新たに毛皮の使用廃止を表明したブランドが「エキゾチックレザー(クロコダイル、リザード、ヘビなど)については何も述べていない」ということだと指摘した。
菜食主義者で動物愛護活動にも携わっている英ファッションデザイナーのステラ・マッカートニーは、毛皮、レザー、フェザーの使用を廃止し、有名デザイナーの中では動物の倫理的扱いの範囲を最も広げている。
だが、ビーガンの人々はさらに、すべての動物性の素材の禁止を求めている。中には羊毛も禁止対象に含まれるべきとみる人々もいる。
一方、毛皮業界は何もせずにこうした動きを受け入れようとしているわけではなく、動物愛護団体がソーシャルメディアなどで繰り広げる運動に対し、より強く反論の声を上げている。
国際毛皮連盟は、毛皮の使用廃止を決めたグッチを、「本当に世界をプラスチック製フェイクファーで窒息させたいのか」非難した。
フランス毛皮連盟のフィリップ・ボーリュ氏は、毛皮の使用廃止はミレニアル世代を喜ばせるための「感情に訴えようとする」巧妙なマーケティング戦略だと主張し、さらに、フェイクファーは環境に真の危険をもたらすとし「毛皮の使用をやめたブランドは、石油産業の副産物であるプラスチックで作られた合成毛皮、およびそれに伴うすべての環境汚染や地球への害を促していることになる」と語った。一方、毛皮は自然のもので、より耐久性があり、出どころをたどることもできると、ボーリュ氏は述べた。
■毛皮に熱狂する中国
フェイクファー研究所のアルノー・ブリュノワ氏は、IFFに対抗するために同研究所を設立した。
ブリュノワ氏は、「生態学的な観点から考えると、1億5000万頭もの動物を飼育し、その皮を剥ぎ、化学物質を使って加工するよりは、石油の廃棄物を利用したほうが良い」と訴え、さらに毛皮業界側の主張について、「フェイクファーを中傷する毛皮業界のマーケティングキャンペーンの一環だ」と述べた。
高級ブランドの専門家であるパリ政治学院のセルジュ・カレイラ教授は、「毛皮の使用をやめたファッションハウスの大部分にとって、毛皮はほとんど利益になっていなかった」と述べた。
例えば、グッチの2017年の毛皮の売上は1000万ユーロ(約13億2000万円)で、全体の0.16%に過ぎない。
最近では欧米諸国の街角で毛皮のコートを見ることは少なくなったが、中国では状況は大きく違う。
IFFのマーク・オーテン最高経営責任者(CEO)によると、中国での毛皮の売上は過去10年で「驚異的」に伸び、最近は横ばいとなっているものの、他の地域を合わせた売上をいまだ上回っている。
2017年の世界市場規模は300億ドル(約3兆3000億円)だった毛皮産業において、世界最大の毛皮消費国の中国は今や、世界最大の毛皮生産国でもある。【翻訳編集】AFPBB News