
大通りに面して、すっきりとした白壁に、
そっと暖簾がかかった、切り込み扉の小さな間口のお店が佇んでいる。
北与野 「手打そば 尾沼」

入口の横に、品書きが置いてあるのはうれしく…

しかも、赤い立て看板には、リーズナブルな「お昼の品書き」
。
初めてのお店に入る時の、わくわくどきどきする気持ちを楽しみ、
そっと扉を開き入ると、小ざっぱりとした清潔感漂う、小さな空間。
横長のお店は、窓が広く、陽光がたっぷりと注ぎこみ、
すぐに迎えてくれる花番さんは、気さくでにこやか。
既に1時半を回った時分、幾つかのテーブルに空いたお皿が残り、
つい先ほどまで、お昼の混雑があったのを物語っているが、今は先客二人程。
ゆったりとした空気の中、開いていたテーブルに腰を下ろす。
すぐに出された美味しい蕎麦茶に、品書きを手にし開き…
まずは、仕事明け。
しかも、せっかく北与野まで来たんだもの、蕎麦前も 
と、品書きに書かれていた、一色のお酒「吉乃川」をお願いすると、
すっとご主人が顔を出して下さり、
「今、吉乃川切れてて、麒麟山なんですが、いいですか?」
すっきりとした麒麟山は、昼酒に持ってこい。

早速お願いしたお酒は、片口に注がれ、
ちょこんっと一切れ、ほんのり甘い玉子焼きが添えて出される。

朗らかな人柄を思わせるご主人に、好感感じながら口にしてると…
「あ、良かったら、これが瓶です(^^)」
と、瓶を出して見せてくれ、テーブルに置いて下さるサービス。

充てにも何か…、と改めて品書きを開いたが、せっかくのお昼の時間。
中の「掻き揚げせいろ」を、天先でお願いし…

頭上にかかった液晶テレビをぼんやりと眺めながら、ゆるり寛ぎつつ、
ふと、横の壁を見ると、おっ、これはいいなぁ
。


丸ごと一本焼いた松茸が入った「松茸そば」や、
松茸の文字が光る「秋野菜の天せいろ」。
岐阜や長野でも頻繁に見かけたけれど、もう、秋なんだなぁ…

などと思っていると、程なく目の前に置かれた「野菜の掻き揚げ」。
おっ、これは見るからに美味しそ~う
。

箸を入れれば、さっくさく。
ズッキーニに、南瓜、葱などがダイス状に混ざった掻き揚げは、
軽やかで香ばしく、とても美味しい
。

しかも、中には小海老まで入っていて、すっかりうれしくお酒を楽しみ…、
いよいよ、楽しみにしていたお蕎麦をお声かけ。

頼むとテンポよく、長方形の蒸篭に盛られ蕎麦が置かれる。

きらきら輝く、更科に近いような白めの蕎麦は、端正に断たれた細切り。

良く見ると、うっすらと透明な蕎麦の粒がところどころに散り、
上品で繊細な粗挽きの蕎麦の姿。

手繰り上げると、軽やかに広がる清々しい穀物の香り。
新蕎麦、なのだろうか…、と口に含むと、つるりとして滑らか。
ざらりぼそ、はらりとした「本むら庵」の蕎麦とは、食感はちょっと違うが…
しゃきっとした腰に、喉越しよく落ちて行く蕎麦は、次第に甘みがぐんぐんと増す。
ほおお、この蕎麦の風味は、これはいいなぁ
。
と、ほんのり甘めの円やかな汁は、本むら庵の汁に似て、
この蕎麦の風味を一層引き立てる。
蕎麦の量も、本家の倍はあるのは、昼にはうれしく、

ほんのり白濁した蕎麦湯を注げは、すぅ~っと雑味なく伸びる汁が美味しい。
と、奥で夜の黒板メニューが準備され、
そっと見ると、お酒にお料理が幾つか書かれ、美味しそう。
近くにあったら、うれしいお店だろうなぁ、などと思いながら席を立つ。
ご馳走様でした~
気持ちのいい応対に、心も暖かくなりながら、
外に出ると、怪しく黒い雲が空にもわもわと広がっている。
こりゃ早く帰らねば、そういえば、夕立あるかも、って言ってたなぁ…。

「手打ちそば 尾沼」
埼玉県さいたま市中央区上落合5-2-3
048-816-6836
11:30~14:30 / 17:30~21:30
日曜、第1月曜定休
禁煙