石材加工(墓石加工)の未来は? | 中小企業のトップダウン⇔ボトムアップ活性化

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前職で石材加工に携わる会社に勤めていました。

 

石材加工といってもあまりピンとこないと思いますが、墓石とかビルの床や壁に使われている石を切ったり磨いたりすることです。

 

日本は地震国なので一般家庭で石材を使うことはあまり無いと思います。馴染みがあるのは墓石ですよね。

その墓石業界ですが、近年苦戦しています。以前から海外産の墓石の流通が増えて国内の加工業者は苦戦していましたが、将来、墓石そのものが激減するのではないかという勢いです。

核家族化や少子化・人口減少、首都圏への一極集通などで墓を持つ・維持することが難しくなり、「墓じまい」が増え、共同の墓地・樹木葬・ビル内の納骨堂など、供養の仕方も多様化しています。

 

墓は決して生活上必要なものではありません。

クールビズで「夏は軽装で良いんだよ。ネクタイも無くって良いんだよ」と小池百合子さんがお墨付きをくれたおかげでクールビズはあっという間に普及し、ネクタイ産業が打撃を受けたと聞きます。

似た話ですが、私の母が亡くなった30年前、葬儀を自宅で行いました。家から送り出すのが当たり前でした。

ここ20年ほど、ご自宅での葬儀に参列した記憶がありません。

葬儀場で葬儀を挙げるのが一般的になりました。正直、葬儀を挙げる家族も参列者も負担が少なくて楽です。

今、「墓は建てなくてもいいんだよ。」という社会の流れになりつつあります。墓を建てなければ不謹慎・不信心だったものが、建てなくても良いと言ってくれているのです。

墓石業界は墓参りに行こうというキャンペーンをしているようです。

でも、墓参りには行きますが、その墓が従来の墓石ではなくなるという話で、墓は石でないとダメだという理由が見つからなくなっています。

 

墓石業界では「墓」をベースとした墓じまいも含めた供養業にシフトして成功している例を聞きます。

 

「石」をベースにした新しいビジネスモデルが見つかると、「加工」をベースとした石材加工が生き残ると思います。

これは石の新しい需要開拓です。

伝統と常識に縛られることなく、やってみる気概が必要です。

 

日本の墓石加工技術は間違いなく世界一です。

時代の逆風は強いですが、墓石加工をベースとした石材加工をなんとか頑張ってほしいと思っています。

 

上村中小企業診断士事務所