
「あ、受かりました。」
教室にどよめきが起きた。
今回のます(仮名)の北里大学
受験が一番厳しいと僕も生徒達
も思っていたのだ。
「大学の門のところで、いかに
も落ちたって受験生が歩いて出
てきたんですよ。」
ますは語りはじめた。
「自分もそうなるのではないか
と不安になったんだね。」
「で、とりえあず、合格発表を
みにいったんですよ。」
生徒達は身を乗り出して聞きは
じめた。でも、結果がわかって
いるから、安心して聞いていら
れる。
「で、怖いから、手で目を隠し
ながら、順番を追っていったん
ですよ。」
「ホラー映画かよ。」
背がでかいわりに、気の小ささ
が露骨にでている。
「で、怖いから、いきなり自分
の順番を見ないで、一番から...」
「めんどくせえ男だな、おい。」
「で、怖いから、39番で、止め
たんですよ。」
「止めるなよ。」
「そしたら、42番があったんで、
うおーって叫んじゃいました。
そしたら、先生みたいなひとが
にっこりうなずいてくれたんで、
僕も頭をさげて......
そしたら、北里の先輩みたいな人
もこっちを見て、にこってしてく
れたんで、僕もよろしくお願いし
ますみたいな気持ちで頭をさげて、
そしたら、急に走りたくなって、
走ったんですよ、
そしたら、校門のところで、こけ
て、痛かったけど、立ち上がり、
これはうかれてはいけないという
戒めだなと思って、」
「落ち着けって事だよな。」
「そうなんですよ、そしたら、」
「まあ、落ち着いて話せよ。」
「で、(落ち着く姿勢)
うん。(せき払い)
で、親父に電話して、どうだったっ
て言うから、ああ、受かってたって
言ったら、良かったなって一言あっ
て、じゃ、って電話をきったら、胸
に熱いものがこみあげてきて、泣き
そうになって」
「落ち着いてな。」
「そう、そうですね、本当に、カオ
リさん、いろいろありがとうござい
ました。」
とひとり、ひとりにお礼を言出し、
「本当、一人だったら受からなかっ
たと思うし」
ます(仮名)の興奮状態で、カオリ
も失笑していたが、良い日だったと
思う。
「あのおまじない、結構、効果ある
だろ」
「本当っすね。」
やるだけの事を精一杯やった後は、
信じるしかない。
先生の力、個人の力で受かるのでは
なく、まわりのみんなの協力しあっ
て良い結果を出して行くのが理想的
だと思う。
One for all ,All for one