就職転職がテーマとは少し異なりますが、自己啓発の一環ということで転載しておきます。

自戒を込めて

http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/watcher/14/334361/092200063/

途中から転載

18時40分:女性社員のところに戻り相談の続き。別な人を取材するように話を変えられるかどうか検討すると言われ安堵する。

18時50分:日経ビジネスオンライン編 集部に顔を出し、副編集長3人とそれぞれ話。ある女性プロジェクトマネジャによる連載記事の打ち合わせをそのマネジャと近々しなければならないが一人で行 くのは気がひける。日経ビジネスオンライン編集長を誘ってみたが「お任せします」と断られた。編集部をうろうろしていたところ、直属の上司である日経BP ビジョナリー経営研究所の所長が姿を見せたが先日開かれた会議をこちらの都合で欠席したこともあり目を合わせないようにして退出。

19時:日経コンピュータITproの共同編集部へ。9月26日に公開するコラム「記者の眼」の締切日は今日。「まだ書いていない」と担当デスクに謝る。ITpro編集長に2件相談。日本ITの50年史を振り返る新連載の件、ITpro読者に投票をしてもらう仕組みの件。

19時15分:日経コンピュータのデスクと雑談。日経BPイノベーションICT研究所へ行き、自分の机と椅子がまだあることを確認する。席があるとやはり嬉しい。机の上を掃除してから帰宅。



「20代の経験がその後の仕事振りを決める」のか

 以上が9月19日の様子である。出社に合わせて用事を詰め込んだためこうなったが普段はこれほど打ち合わせをしておらず、もっぱら原稿を書いたり 校正したりしている。人との打ち合わせが2割、執筆や査読など独りでする仕事が8割だろうか。電子メールの送受信は打ち合わせかもしれないが実際に会って いるわけではないので後者に入れた。

 人に会わずに仕事をするのは苦ではないが、人と話をしなくなると頭の回転が悪くなるのではないかと心配になる。人の表情や声、身振り手振りには相 当な情報量があり、それらを受け止めると頭が刺激される。悪く言えば頭が疲れる。だが疲れるからと言って避けていると刺激に弱くなり思考回路がますます動 かなくなる危険がある。


19日午前、2人の技術者から聞いた話は頭が回るかどうかに関係する。20代の経験がその後の仕事振りを決める、すなわち仕事ができる頭は20代でつくられる、という話は昔からしばしば聞いた。この件は何回か書いたが大事だからまた書く。

 何かを成し遂げた人に「どうしてできたのか」と問うと若い頃の経験を必ず持ち出された。例えば、製品の企画、設計、生産、営業、客先への搬入、障 害対策、保守を全部やらされて苦労したが、物事を判断する軸が頭の中に複数でき、その後の仕事にとても役立った、といった話である。

 同じ話を19日午前、2人から聞いたため、午後同僚と相次いで打ち合わせをする際にも、そのことが気になっていた。諸事情から今の自分は色々な仕事をしているが本来もっと若い頃にすべきことではなかったか。

 20代を思い起こすと日経コンピュータという雑誌の記者を続けていた。毎回取材する内容は変わるものの、取材を申し込む、取材する、原稿を書く、 校正する、といったことの繰り返しであった。途中半年ほど外れ、新雑誌開発プロジェクトに参加したが見事に失敗、日経コンピュータ編集部に出戻ってしまっ たので「物事を判断する軸が頭の中に複数でき」たとは言い難い。

頭の中の「マトリックス・サイズ」を広げる

 情報システムに関わるエンジニアの仕事はどうであろうか。特定顧客に長期間、常駐しているエンジニアは存在する。入社以来ずっと情報システム部門 で仕事をしている人もいる。顧客や社内から信頼され、かけがえのない人材と評価されていても、その人の将来を考えると必ずしも良いこととは言えない。

なぜなら、複数の職場あるいはプロジェクトに参加して仕事の幅を広げておかないと頭の中における「マトリックス・サイズ」が広がらないからだ。マトリックス・サイズとはITproにコラム『SEは自らの手で明日を切り開け!』を書いている馬場史郎氏の造語である。馬場氏の著書『新版 SEを極める50の鉄則 マネジメント編』の「鉄則10 全顧客とプロジェクト、全SEの状況を把握せよ」から引用する。

 マトリックスの大きさは「顧客とプロジェクト数」×「SE人数」である。20人のSEと15の顧客/プロジェクトがあるとすると300の要素をもつマトリックスが出来上がる。実際には300の要素のうち何割かにSEがアサインされていることになる。
 ビジネス目標を達成し、部下を育てるために、SEマネジャはこれら300の要素を頭の中に置き、個々の要素についてビジネスやプロジェクトの状況、SEの状況、問題点などを把握しなければならない。(中略)
 筆者は「SEマネジャが頭に入れられる要素の数」をそのマネジャのマトリックス・サイズと定義した。俗に言えば、「頭が回る度合い」である。(中 略)SEマネジャは職務で要求されるマトリックスを自分で計算し、マトリックスの個々の要素の「状況」を鮮明に頭に描けるようになることが肝要である。 (中略)この数が300で一人前、500以上で一流のマネジャと言えよう。

 以上は部下を持つマネジャについての説明だが、部下を持たないエンジニアにおいてもマトリックス・サイズは重要である。例えば「顧客とプロジェクト数」×「タスク数」あるいは「タスク数」×「適用する能力/技術数」といったマトリックスが考えられる。

 マトリックス・サイズを広げるにはどうすればよいか。馬場氏はジョブアサイン、すなわち上司が部下のエンジニアにどのような仕事を与えるかが極め て重要だと指摘している。例えば、大手顧客1社を長年担当していたエンジニアより、複数の顧客を担当したエンジニアのほうがマトリックス・サイズを広げや すい。したがって大手顧客を一定期間担当させた後、複数の顧客あるいは複数の仕事を担当させるといったジョブアサインが求められる。

 ただし部下の育成を考えてジョブアサインをしてくれる上司ばかりではない。そうなると自分で経験を積むように心掛けなければならないが、冒頭のエンジニアのように自分から異動を求めることは簡単ではない。

このように20代の多様な経験の有無について考え出すと悩ましいが、筆者は「経験によって自分の頭の中の判断軸を増やせると気付くことが大事、そうすれば年齢にかかわらず成長できる」と考えている。

 経験は実体験が望ましいが疑似体験でもそれなりの効果がある。疑似体験とは例えば、同業者の体験談を聞いて意見交換をする、自分の仕事から遠い領 域の情報を仕入れる、といったことを指す。逆に「それは私に関係ありません」「私の領分ではない」と言い続けていると成長は期待できない。

 ここから我田引水の話になる。先に紹介した9月19日午後の打ち合わせのうち、クリーンテック研究所の研究員、日経テクノロジーオンラインの副編 集長、日経パソコン編集長、ITpro編集長と相談していたのは「テクノインパクト2014」というプロジェクトについてであった。

 テクノインパクト2014は日経BP社の技術系媒体に所属する記者200人が共同で取り組んでいるプロジェクトである。今年は「将来社会を変える技術」を200人が選び、そのリストに基づいて様々な情報発信をしていく。

 その一つとしてリアル開発会議の無料冊子に『小さく大きい技術、世界をつなぐ』 と題した記事を寄稿し、それを日経テクノロジーオンラインで本日公開した。200の技術リストから60件を選び、その傾向を解説したもので、ソフトウエア に関する指摘もある。頭の中のマトリックスを広げられるとまでは言わないが頭の体操にはなる、ぜひ読んでいただきたい。

さらに60件の技術から7~8件を選び、その技術の開発者などを社会イノベーション/Smart City Week 2014に招き、プレゼンテーションをしてもらう計画を立てている。

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 「経験によって自分の頭の中の判断軸を増やせる」「年齢にかかわらず成長できる」と述べた。この仮説が正しければ50代の筆者であっても成長できる。様々な仕事を抱え込んでいるのはそのためである。

 ところで9月19日の夜、ある件で実家に電話をかけたところ「高齢になっても1日10人と話をしていれば呆けない」という話を聞いた。成長よりもこちらのほうが筆者にとって切実かもしれない。