日本語学習書のタクシーの運転手と乗客の挿絵をみながら、彼女が言う。
「どうして、後ろに座ってるの?」
・・・???
彼女は、私が、質問を理解してないと思ったらしく、もう一度、繰り返す。
へ?? なんだか、話がみえないんですけど。。。
友達は続けた。「私は、いつも前に乗るけど。」
あぁ、そういう意味だったの!? え~!!

そこで、私は言う。 「だって、日本じゃ、運転手さんの隣には座らないことになってるのよ。お客さんはいつも後ろだよ。」
次は彼女が驚く番。 え、そうなの?! 私、あんまりタクシーは乗らないけど、いつも、必ず助手席に乗れ、って言われるから、そうするけど。 と言う。
おぉ、今まで、そんなの聞いたことない。し、言われたこともない。
彼女は続ける。 「それに後ろにすわったら、なんだか、話しにくいじゃない。」
でも、後ろにいたって、運転手さんはすぐ前にいるんだから、話せるでしょ?
と聞くと、そうでもないらしい。
多くの運転手さんが、後ろじゃなくて、前に乗りなよ。そのほうが、おしゃべりしやすいし、楽しいし。
と言うそうだ。そして、目的地に着くまで、ずっと話をするらしい。
あ~、わかった。私が外人だから、そんなこと言われたことがないのね。
と言うと、あ、そうかもね、と言う。
「でも、お客さんが助手席に座ってるのも、みたことないし、聞いたこともないけどな~。
やっぱり、それ、普通じゃないんじゃない?」 と言うと、
そう?この間もパリで乗ったときも前に乗ったし、田舎で利用するときは、必ずそうなる、ということ。
そして、みんな、そうしている、と思っていたとか。
助手席は危ないから、お客さんに座らせない、とか規則はないの?
と聞くと、 ないんじゃない?と言う。
そのへんは、ゆるいフランス、といったところかな。
私も、日本で乗るときに、ほとんど運転手さんと話はしないが、フランスでは言葉の練習になる、ということで
あえて、話しかけたりしていた時期もあったっけ。その結果、携帯の番号をもらい、仕事に遅刻しそうになったときなど、電車の中から連絡をとっておいて、駅で拾ってもらったことなどもあった。
東京で乗るタクシーの中には、沈黙のなせるわざか、ほのかに緊張感さえあるような気がする。
運転手さんの中にも、むこうから話しかけてきたりして、ちょっと話が続くこともあるけれど。
また、彼女によると、挿絵にあるように、タクシーの運転手さんが制服姿でいたりすると、まるで要人になったような感じがして、落ち着かないそうだ。
ま~、確かに、フランスのタクシーでは、誰も制服なんて着てないしね。もっとずっとずっと気楽な感じ。
以前乗ったタクシーの助手席には、大きなシェパードが寝そべっていたし、週末に乗ったときには、
小学生ぐらいの息子さんが座っていて、ずっと二人が会話していた、などということもあった。
あ、彼女に言い忘れた。挿絵にはうつってないけど、運転手さんが、白い手袋してたりするんだよ、
どう? って。