たくさん持ってるタオルの中で、お気に入りのタオルを落としてしまったみたい。
普段なかなか落とし物しないからまたショック。
よりによってお気に入りのタオル。。。
お店に行ったらまだあるかもしれないけど。。。
アフタヌーンティーの、ホテルにありそうなふわふわの真っ白なタオル。
明日心当たりのあるところ探してみよう。
ひょんなところからでいいから、どこかにあると良いな。


そして今日ちょっと気になっている人に不幸があったみたい。
職場は一緒だけど、お互い事務所と作業場での仕事だから朝すれ違う時に挨拶くらいしかしたことなくて、全然話したことないんだけど、ルックスがタイプで目が行く人。
横顔の時鼻筋がスッと通って目もパッチリしてる整った顔で、無駄のないひきしまった体が一際目につく。
いっつも元気な挨拶で職場に入ってきて、仕事もできるみたい。
年下だけど、職歴長くてすごくしっかりして見える。
休憩中はスマホのゲームをずっとしてて、私は自分のデスクから視界に入る彼を見てないふりしてたまに見る。


私の朝は彼とすれ違えるか、それで始まる。
今日はすれ違えなかった、、、なんて思ってたらまだ事務所に一人残っていたり。
私は後ろを通る時、邪魔にならないくらいの声で挨拶する。
ほんとは目を見て大きな声で挨拶できたらいいんだけど、そこから何か話ができればいいんだけど。
私なんてモブの一人なんだろうなって思いながら。


でも私にとっては誰にも言ってない秘密の癒し。


9歳くらい違うのかな。
20代半ばのキラキラしたイケメンにとってこんな年上対象外だよね。
そもそもうちの職場は20代はじめでも普通に結婚してるから、もう結婚してるかな。
他の人に聞きたいけど、聞けない。
30代半ばのこじらせジャニオタが、9歳も年下のイケメンが気になっているなんて。
いくら男ばっかりの職場といえどもおこがましい。


今日はいつもより少しだけ早めに着いた。
いつもすれ違う階段では会わなかった。
事務所で会えたら良いな。

彼は珍しくお休みだった。
彼のお兄さんが亡くなったらしい。
お休みなんて今までなかったから、他の人に聞いてみたら私とそんなに変わらないくらいの年のお兄さんをガンで、とのこと。

私は彼のことを何も知らない。
お兄さんがいたことさえ知らない。
もちろん闘病中ということも。

そんなこと微塵も感じさせないくらい元気に、彼は毎日挨拶して事務所に入ってきていた。
そして毎日お弁当を食べながらスマホのゲームに夢中なんだ。
予鈴が鳴って、他の人にちょっかい出したりして、おっきな声で笑うんだ。

それが私の知ってる彼のすべて。
私はそんな彼に、ささやかな楽しみを覚えていた。


彼はきっと今、はかりきれないくらい深い悲しみの中にいるだろう。
人の命と比べるなんて滅相も無いけれど、私の無くした真っ白なタオルなんて比にもならないくらいの深い深い悲しみ。



私は誰にも気づかれないまま、何も知らない彼のことを思う。