後にも先にも一歩も進まず。

そもそも第一歩すら踏み出してはいないのですが。



なぜだったのだろうと今も想うけれどまだわからないよ



社長さんとの情事以来、頭の中でずっと流れ続けているこの部分。


好きか嫌いかといえば、好きです。

男として見られるかといえば、見られます。


だからと言って、何もないのです。


進展も何もないのです。


お互いに恋人がいたからこうなっただけの話です。


私に彼氏がいなければ、きっと手を出してこなかったでしょう。

自分に彼女がいなければ、きっと私みたいなガキを相手になどしなかったでしょう。


「彼女と別れて私と付き合って!」

私は間違ってもこんなことは言いませんが、他人のことです。私が何を考えているかなどあちらには分かりません。 こんなことを言いだされては面倒です。


お互いに恋人がいる、嫌になれば自分の場所へ戻ればいい。それがいいバランスを保っている秘密なのです。


父MC氏に私の分析を話したら「お前はバカやのに、そうゆうことはよう分かってんな」とお褒めの言葉をいただきました。


後にも先にも何もない。


非生産的。


お互い相手に何も望まない。


それがまた心地良いのです。
冷めていてしごく客観的に自分がみられる


感情的な自分がいて、隣でそれを冷静に観察している自分





とても非生産的



未来も何もあったもんじゃない




いつからだろう



ある日を境に、彼氏がいなくてもやっていける


そう気付いた


そんな訳ない


臭いものに蓋をするが如く奥の方へ押しやった






ある展覧会へ行った


面白いゲームがあった


一緒にいてと言っているのに、時間の無駄と言って付き合ってくれなかった


隣ではカップルが仲良さそうに二人してやってるの


いてもたってもいられず私はその場を立ち去った


彼氏を置いて1人で帰った





二人とも別々で家に帰り、そのことで口論した


私にやったことが自分に帰ってきただけなのに、そのことに全く気付いていない


ついには別れるとまで彼氏は言いだした


好きにするが良い

貴様なんぞ知らん



彼氏と出掛けるといつもこれだ


彼氏と出掛けるといつも思い知らされる


彼氏には、私に使う時間も金も、一秒一銭とも持ち合わせていないのだということを


忙しいから早く帰ろうとせかされる


食事をしても割り勘、アイスクリームの一つも買ってくれやしない






年上・男・稼いでる この3拍子揃っている


けれども私に何かご馳走してくれたりプレゼントしてくれたりなどと言うことはほとんどない


問題は金ではない


男として、年上として、彼氏として


ここは僕が出すよ


一言言ってくれる余裕なのだ



アイスクリーム一つでその後の私は上機嫌

私の喜ぶ顔を見るのにアイスクリームは安い買い物だと思う




このまま不倫ごっこを続けていても何もない

未来もクソもありはしない



彼氏との非生産的で楽しくも何もないものより

彼との同じ非生産的でも楽しい不倫ごっこ

私の好奇心を満たしてくれる大人の人、こちらの方が幾分か気がらくである



私の気持ちは冷めてゆくばかり
部屋は大通りに面している3階でした。カーテンと窓を閉めてもネオンと外の声が漏れてくる部屋でした。

さて。

パパパッ!と服を脱ぎ捨て「カモン!」 ―――などと言えれば苦労はしません。

部屋に入るや否や窓辺に直行、何をするでもなく窓の外をジーーーと眺めていた私です。

背後から社長さんが近づいてきて私を抱きしめました。

首だ耳だとキスしてきました。

アハンと色っぽい声一つ出てこずに、プププ!と吹き出して笑ってしまいました。

そして倒れこむようにベッドへ。
イチャイチャしてみました。

イチャイチャしながら相変わらずクスクスクスクス笑っていました。

社長さんが何かやる度に笑ってしまうので「笑うごとに罰金とるよ」と言われてしまいました。
きっと一晩で破産してしまいます。

社長さんはシャワーを浴びに行きました。

その間また本を読んでいました。

10
分後、タオルを巻いて出てきました。





百戦錬磨の社長さんとの情事は前回にも増して激しいものでした。

 

これぞ情事。


夢中だったというか、我を忘れたというか。

彼氏とセックスする時の私は、冷静で客観的、頭も体も冷めているのでAV女優の如く演技をしていました。

とにかく、今までにない経験をして楽しかったのです。


終わってから終電ギリギリまでベッドでボーっとしました。


ホテルを出て、駅まで歩くこと10分。


殆ど会話らしきものはなかったのですが、口をきかなくてもそう気まずいとは思いませんでした。

「おやすみなさい」

一言お別れを言ってキスして別れました。


何となく、この人に逢うことはもう二度とないかな。と思いました。


が、今日会う一番の目的のTシャツをもらっていないので、もう一回くらい逢わなけりゃと思いなおしたテツコなのでした。